キャスタブルセラミックスと象牙質との接着に関する研究

近年審美修復への強い要求から, 様々な歯冠色修復材料や方法が開発されてきた. これらのうち, 従来の鋳造修復に用いられているロストワックス法に準じて作成される, キャスタブルセラミックスを用いて保存修復の分野, すなわちインレーやアンレーに応用するためには, 内外側双方の性格を持つ複雑な窩洞に正確な適合する鋳造精度が要求されることはもとより, 歯質, ことに象牙質に対し高い接着性を有する接着システムの開発が要求される. 今回は, 新たに球状フィラーを80.5重量%含有する, 低粘性可視光線重合型およびdual cure型コンポジットレジンセメントの2種類を開発し, この性能を, 我々が従来より...

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Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 1993, Vol.13 (1), p.59-60
Hauptverfasser: 竹森健嗣, 千木良尚志, 伊藤和雄, 久光久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年審美修復への強い要求から, 様々な歯冠色修復材料や方法が開発されてきた. これらのうち, 従来の鋳造修復に用いられているロストワックス法に準じて作成される, キャスタブルセラミックスを用いて保存修復の分野, すなわちインレーやアンレーに応用するためには, 内外側双方の性格を持つ複雑な窩洞に正確な適合する鋳造精度が要求されることはもとより, 歯質, ことに象牙質に対し高い接着性を有する接着システムの開発が要求される. 今回は, 新たに球状フィラーを80.5重量%含有する, 低粘性可視光線重合型およびdual cure型コンポジットレジンセメントの2種類を開発し, この性能を, 我々が従来より高い接着性を確認している試作dentin bonding systemで処理された象牙質平面にシランカップリング処理を行ったキャスタブルセラミックスをこの試作セメントを用いて接着させた試片の引っ張り剪断接着力試験を行うことによって検討した. その結果, dual cure型レジンセメントの方が可視光線重合型レジンセメントよりも有意に高い接着力が得られ, この接着力は市販のレジンセメントSuper-Bond C&Bを用いてセラミックスを接着させた場合と同等の接着力であった. 以上より, 可視光線重合型の場合, 被着体を介し被着面に対して減衰した光しか届かない危険性がありその重合性に問題があるため, より確実な接着を得るためにはdual cure型のほうが望ましいと結論づけられた. また, この試作コンポジットレジンセメントは球状フィラーを高い配合比(80.5重量%)で含有する材料であり, 露出したセメントラインの耐摩耗性を期待し得ることにより, 優れた鋳造精度がいまだに確立されていたいキャスタブルセラミックスの合着に用いるセメントとしての有用性が示唆された.
ISSN:0285-922X