重症歯性感染症のCT像
菌性感染症では, 開口障害が高頻度に発生するため, 口腔内診査が十分にできないことも稀ではない. 一方, CT検査は患部の状態や患者の全身状態にもほとんど左右されることなく施行でき, 炎症の範囲や重症度も比較的容易に診断できる. 今回われわれは重症歯性感染症(入院加療を必要とした)症例のうちCT検査施行例について, 臨床診断とCTによる画像診断の結果を対比した. 対象となったのは8例で, 内訳は男女ともに4例, 20~30歳代が4例, 50歳代が3例, 70歳代が1例であった. 原因歯は下顎大臼歯が6例, 下顎犬歯(?)が1例, 上顎大臼歯(?)が1例であった. 8例中6例は, 下顎部から上顎...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 1993, Vol.13 (1), p.52-52 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 菌性感染症では, 開口障害が高頻度に発生するため, 口腔内診査が十分にできないことも稀ではない. 一方, CT検査は患部の状態や患者の全身状態にもほとんど左右されることなく施行でき, 炎症の範囲や重症度も比較的容易に診断できる. 今回われわれは重症歯性感染症(入院加療を必要とした)症例のうちCT検査施行例について, 臨床診断とCTによる画像診断の結果を対比した. 対象となったのは8例で, 内訳は男女ともに4例, 20~30歳代が4例, 50歳代が3例, 70歳代が1例であった. 原因歯は下顎大臼歯が6例, 下顎犬歯(?)が1例, 上顎大臼歯(?)が1例であった. 8例中6例は, 下顎部から上顎部さらに側頭部に及ぶ“広範囲上方進展型”で, 他の2例は下顎部に留まる“下顎部限局型”であった. これらの症例における炎症の範囲は解剖学で知られる“隙”への広がりをもって判断し, 炎症の重症度は各々の“隙”に関して(1)浮腫のみ, (2)蜂窩織炎のみ, (3)膿瘍あり, のいずれかを判定した. これらの内容は臨床診断では主にカルテの記載から, CT診断では臨床症状や経過にとらわれず独自に決定した. 両者を比較した結果, “広範囲上方進展型”では臨床診断で記された19部位(隙)のうちCTと一致したのは11部位(58%)で, 過大に診断されたもの4部位, 過少に診断されたもの4部位であった. CTで追加された罹患部位は31部位(平均5部位)みられた. 一方, “下顎部限局型”では, 臨床診断5部位のうちCTと一致したのは1部位(20%)で, 過大診断3部位, 過少診断1部位であった. CTによる追加が4部位(平均2部位)みられた. また, 膿瘍に関して総合するとCTで指摘された24部位のうち7部位(約29%)が一致しただけであった. これらの結果から, CT診断と臨床診断とに大きな開きがあることが知られ, この事実を認識しながら治療を進めることを期待したい. |
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ISSN: | 0285-922X |