スペースシャトルを用いた宇宙実験

長期の宇宙飛行では宇宙飛行士の骨密度が著明に減少し, 尿中へのカルシウムの排泄が増加することが報告されている. これは, 無重力の宇宙空間ではカルシウム代謝が負のバランスに傾くためである. これに似た現象は地上でも観察される. 例えば, 老人性骨粗鬆症や寝たきり老人で代表される廃用性萎縮(disuse atrophy)の場合である. 1979年, 私共は宇宙開発事業団(NASDA)がNASA(米国)のスペースシャトルを借用して, 日本初の本格的な宇宙実験を計画していることを知った. 我々は『鶏胚の骨と軟骨の成長に及ぼす無重力の影響』というタイトルでこの宇宙実験に応募し, 幸いにも12のライフサ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:昭和歯学会雑誌 1993, Vol.13 (1), p.49-49
Hauptverfasser: 阿部悦子, 新木敏正, 須田立雄, 山口朗, 横瀬敏志, 吉木周作, 槙宏太郎, 柴崎好伸, 福原達郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:長期の宇宙飛行では宇宙飛行士の骨密度が著明に減少し, 尿中へのカルシウムの排泄が増加することが報告されている. これは, 無重力の宇宙空間ではカルシウム代謝が負のバランスに傾くためである. これに似た現象は地上でも観察される. 例えば, 老人性骨粗鬆症や寝たきり老人で代表される廃用性萎縮(disuse atrophy)の場合である. 1979年, 私共は宇宙開発事業団(NASDA)がNASA(米国)のスペースシャトルを借用して, 日本初の本格的な宇宙実験を計画していることを知った. 我々は『鶏胚の骨と軟骨の成長に及ぼす無重力の影響』というタイトルでこの宇宙実験に応募し, 幸いにも12のライフサイエンス実験の一テーマとして採択された. 本年9月, 15名の班員と協力者はケネディ宇宙センター(KSC, フロリダ州)へ赴いた. 今回の宇宙実験では, 0, 7, 10日齢の鶏胚(受精卵)を10個ずつスペースシャトル(エンデバー号)に搭載し, 8日間の宇宙飛行ののちにKSCでそれらの受精卵を回収した. 同様の実験は, 地上においても地上対照実験グループとして実施された.
ISSN:0285-922X