耳下腺組織内における弾性線維の加齢的変化について
唾液腺組織に関する研究は, 形態学的には数多く報告されている. しかし, 唾液腺組織内の結合組織性線維についての報告は数少なく特に弾性線維に関する報告はあまりみられない. 今回, 我々はSD系ラットを用いて, 唾液腺組織内の弾性線維の発現状態を光顕により形態学的に検索を行い, さらにその加齢的変化についても観察を行ったので, その結果を報告する. 材料は生後2週齢から78週齢のSD系ラットの耳下腺を用いた. 弾性線維染色は, ワイゲルトのレゾルシンーフクシン染色を施した. 観察部位は, 耳下腺終末部の腺房間および腺房に続く導管系の介在部, 線条部, 小葉間導管, 小葉外大導管の各周囲部の5部位...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 1992, Vol.12 (1), p.79-79 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 唾液腺組織に関する研究は, 形態学的には数多く報告されている. しかし, 唾液腺組織内の結合組織性線維についての報告は数少なく特に弾性線維に関する報告はあまりみられない. 今回, 我々はSD系ラットを用いて, 唾液腺組織内の弾性線維の発現状態を光顕により形態学的に検索を行い, さらにその加齢的変化についても観察を行ったので, その結果を報告する. 材料は生後2週齢から78週齢のSD系ラットの耳下腺を用いた. 弾性線維染色は, ワイゲルトのレゾルシンーフクシン染色を施した. 観察部位は, 耳下腺終末部の腺房間および腺房に続く導管系の介在部, 線条部, 小葉間導管, 小葉外大導管の各周囲部の5部位について行った. 1. 腺房間には, 生後5週齢から78週齢に小葉間結合組織より侵入して, 弾性線維が存在していた. 2. 介在部周囲には, 全週齢に弾性線維の発現は観察されなかった. これは終末部の腺細胞に接して存在する筋上皮細胞の収縮作用によって, この部位は分泌物の放出圧により輸送を容易にしているものと考えられ, このため特別な結合組織性線維を必要としないものと考える. 3. 線条部周囲に発現する弾性線維は, 線条部のごく一部に生後5週齢から78週齢まで少量の弾性線維が認められた. 4. 弾性線維の加齢的変化は, 特に小葉間導管および小葉外大導管の周囲において, 量的ならびに形態的変化が著明に認められた. 5. 弾性線維は, 週齢が増すと, 蛇行状, ラセン状, 糸屑状を呈して観察されるが, 中でも糸屑状の形態はより増加する傾向を示した. この形態は, 線維の老化を示唆する. 今後, 顎下腺, 舌下腺についても, 同様の検索を行い, また, 耳下腺の加齢的変化との関連も検討する予定である. |
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ISSN: | 0285-922X |