歯磨剤使用in-vitroブラッシングによるエナメル質の磨耗
目的と方法:歯磨剤を用いたブラッシングは象牙質を磨耗するが, エナメル質はほとんど磨耗しないか, あっても僅かであるといわれている. しかし, 歯頸部に多発する楔状欠損は, エナメル質の磨耗を必ず伴うはずである. ここでは, 鏡面研磨したエナメル質を電動歯ブラシでブラッシングした結果を報告する. 電動歯ブラシは振動数約3,300/分のB社製dental d3を使用し, 歯磨剤はL社製のW&Wを用いた. ブラッシング圧は約110~130gとし, 10分ごとに歯磨剤と蒸留水を補給して, 積算10分から5時間までのブラッシングを行った. 対照は蒸留水のみで2時間ブラッシングしたエナメル質とし...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 1991, Vol.11 (4), p.496-497 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的と方法:歯磨剤を用いたブラッシングは象牙質を磨耗するが, エナメル質はほとんど磨耗しないか, あっても僅かであるといわれている. しかし, 歯頸部に多発する楔状欠損は, エナメル質の磨耗を必ず伴うはずである. ここでは, 鏡面研磨したエナメル質を電動歯ブラシでブラッシングした結果を報告する. 電動歯ブラシは振動数約3,300/分のB社製dental d3を使用し, 歯磨剤はL社製のW&Wを用いた. ブラッシング圧は約110~130gとし, 10分ごとに歯磨剤と蒸留水を補給して, 積算10分から5時間までのブラッシングを行った. 対照は蒸留水のみで2時間ブラッシングしたエナメル質とした. ブラッシング面の約1/3はGCパターンレジンで被覆した. 観察結果:肉眼観察では, 歯磨剤を用いたブラッシング面は光沢が著しく減少した. SEM観察では, ブラッシング傷を伴う小柱構造が露出した. 磨耗による深さはレーザーテック社製レーザー顕微鏡と表面形状測定装置, およびSEMの反射電子凹凸像を利用するサンユー電子社製電子ビーム三次元計測装置を用いて観察した. 被覆面と歯磨剤使用ブラッシング面の段差は10分間で約1.3μmを示し, その深さは経時的に増加し, 5時間では約3.1μmとなった. 露出したブラッシング面の凹凸も, 深さが約0.5から0.9μmと増加する傾向を示した. 対照に用いた蒸留水ブラッシングは, 被覆面との段差が観察されず, 表面の粗さは約0.1μmで, ブラッシング前の粗さと同じ値を示した. 考察と結論:歯磨剤を使用したブラッシングはエナメル質を明らかに磨耗した. 今回の実験室の結果から推察すると, 歯磨剤を使用した1日60回の手動ブラッシングは, 約1年半でおよそ1.3μmの深さまでエナメル質を削りとることになる. したがって, このようなブラッシングはエナメル質の薄い歯頸部を磨耗し, やがて象牙質を露出させる. |
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ISSN: | 0285-922X |