ヒト乳切歯における表層“無柱エナメル”の形態と分布
[目的] 乳歯エナメル質最表層には, Ripa, Gwinnett(1966)らにより, 負の複屈折性を示す無柱エナメル“prismless”enamelが分布することが知られている. すでに演者らは, 微分干渉顕微鏡(DIC), SEM観察により, 負の複屈折性を示すエナメル質最表層の構造を, 次の四つに区別した. エナメル小柱が表層で屈曲しているが表面まで達している“false”型, 最表層には不明瞭ながら小村境界部が観察される“moderate”型, まったく小村構造が観察されたい“essential”型, そして無小柱構造の中に, 不明瞭あるいは奇形の小柱が散在している“complex...
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Zusammenfassung: | [目的] 乳歯エナメル質最表層には, Ripa, Gwinnett(1966)らにより, 負の複屈折性を示す無柱エナメル“prismless”enamelが分布することが知られている. すでに演者らは, 微分干渉顕微鏡(DIC), SEM観察により, 負の複屈折性を示すエナメル質最表層の構造を, 次の四つに区別した. エナメル小柱が表層で屈曲しているが表面まで達している“false”型, 最表層には不明瞭ながら小村境界部が観察される“moderate”型, まったく小村構造が観察されたい“essential”型, そして無小柱構造の中に, 不明瞭あるいは奇形の小柱が散在している“complex”型である. 今回は, その形態および分布を光顕および電顕的に観察した. [材料と方法] 肉眼的に白斑やう蝕の認められない5~7歳の上下顎乳切歯を用いた. 歯は, pH6.5のホルマリンで固定し, 水洗後, 厚さ70μmの唇舌的および近遠心的研磨切片を作製した. 試料は, DICで観察後, pH7.2の1%EDTAで15分間腐食後, SEMで観察した. 観察領域は, 切端部, 中央部, 歯頚, 歯頚線の四つに区別した. [結果] 無柱エナメルの形態は, 帯状, 島状およびレチウス線が関与した孤立した階段状の3種類に分類された. 無柱エナメルの構造と形において, “compIex”型はどの形にも観察され, その他“moderate”型は帯状に, “essential”型は島状の無柱エナメルに観察された. 無柱エナメルの長さは, 長い帯状で2~5mm, 短い帯状は0.5~1mm, 島状と孤立した階段状は0.2~0.3mmを示した. 厚さは, 帯状に100μmを示したほかは, 15~30μmの範囲を示した. 無柱エナメルの歯面に対する割合は, 上顎の唇側と上下顎の近遠心側で高い値(57~20%)を示し, またその出現率は歯頚線で高く, 切端部へ向けて減少する傾向が認められた. これらは, 長い帯状の無柱エナメルの分布に従った. |
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ISSN: | 0285-922X |