歯列異常者の咬合改善と調音運動に関する研究

下顎前突を伴う口蓋裂患者について, ハイスピード・ビデオシステムを用い, 調音時の口腔周囲組織の運動を観察した. [計測方法] 被験者はサ行音マ行音組合せ表の中の[sa], [ma]である. 被験者の皮膚および口唇に5か所の標点を設け, 顔面側貌またはMKGの矢状運動画面とSSD上の声紋パターンの二現象を音声とともに同時記録した. そして, 低速再生時に声紋パターンから先行子音発音時点を識別し, 調音運動中の各標点の全運動経路を解析した. 計測町点は診断用義歯装着の前後と下顎後退手術後である. [実験結果] 1)[s]1発音時に, (1)下顎切歯点では, (1)義歯装着後のほうが中心咬合位から...

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Hauptverfasser: 古川周, 金修澤, 大谷俊一, 秦博文, 積田正和, 山縣健佑
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:下顎前突を伴う口蓋裂患者について, ハイスピード・ビデオシステムを用い, 調音時の口腔周囲組織の運動を観察した. [計測方法] 被験者はサ行音マ行音組合せ表の中の[sa], [ma]である. 被験者の皮膚および口唇に5か所の標点を設け, 顔面側貌またはMKGの矢状運動画面とSSD上の声紋パターンの二現象を音声とともに同時記録した. そして, 低速再生時に声紋パターンから先行子音発音時点を識別し, 調音運動中の各標点の全運動経路を解析した. 計測町点は診断用義歯装着の前後と下顎後退手術後である. [実験結果] 1)[s]1発音時に, (1)下顎切歯点では, (1)義歯装着後のほうが中心咬合位から発音開始位まで, および発音開始から終了までの移動距離が義歯装着後のほうが小さく, 子音継続時間は長い. (2)手術後は術前に比べ中心咬合位からの移動距離が小さく, また子音発音中の変動も少ない. (2)皮膚上標点は, (1)義歯装着後のほうが発音中の移動距離が小さい. (2)手術後は子音発音開始点までの運動が不安定であるが, 発音中の変動は小さい. 2)[m]発音時に, (1)下顎切歯点では, (1)義歯装着後のほうが中心咬合位から発音開始位までの移動距離は小さいが, 継続時間は同じである. (2)手術後には子音発音開始点までの移動距離が大きいが, 発音中の移動は少ない. (2)皮膚上標点では, (1)上口唇は義歯装着前には後方に大きく移動するが, 装着後にはほぼ垂直下方に向かい, 発音中の運動範囲は小さい. 他の標点は義歯装着後には運動経路は後方で, 移動距離は大きくなる. (2)手術後には鼻下点と上口唇はほぼ一定位置に静止し, 他の標点の移動方向は, 義歯装着時と同様である. 以上のように, 発音時の下顎切歯点と皮膚上標点の移動量, 方向に違いが見られた.
ISSN:0285-922X