矯正科, 口腔外科, 補綴科のチーム・アプローチによる高度成人顎変形症の一治験例について
顎変形症患者は高度な機能的, 形態的, 審美的障害を呈するのが常で, その診断には広範な知識と十分な経験が不可欠とされるため, 従来各専門分野の協力のもとにチームが組織され, 一連の系統だった治療がなされるよう努力されてきた.昭和大学歯科病院においても, 顎顔面に形態異常がある患者を対象に, 矯正科, 口腔外科, 補綴科の3科によるM.F.C. (MaxilloFacia1-Conference) によって, 診断, 治療方針の細部にわたる検討を行っている.今回, 成人女子で下顎の著しい左方偏位を伴う顔面の非対称, 下顎骨の過成長による反対咬合, 前顔面高の増大, オトガイの尖形, 巨舌症さら...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 1988/03/31, Vol.8(1), pp.114-123 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 顎変形症患者は高度な機能的, 形態的, 審美的障害を呈するのが常で, その診断には広範な知識と十分な経験が不可欠とされるため, 従来各専門分野の協力のもとにチームが組織され, 一連の系統だった治療がなされるよう努力されてきた.昭和大学歯科病院においても, 顎顔面に形態異常がある患者を対象に, 矯正科, 口腔外科, 補綴科の3科によるM.F.C. (MaxilloFacia1-Conference) によって, 診断, 治療方針の細部にわたる検討を行っている.今回, 成人女子で下顎の著しい左方偏位を伴う顔面の非対称, 下顎骨の過成長による反対咬合, 前顔面高の増大, オトガイの尖形, 巨舌症さらに多数の高度ウ蝕など, 改善すべき問題点の多い困難な症例に対し, 矯正科, 口腔外科, 補綴科, 3科によるチーム・アプローチを行った.治療は, 下顎の側方偏位改善のための回転量と後方への移動量が大きいことから, 被蓋の改善を最優先に考え, まず, 口腔外科にて下顎枝矢状分割法による下顎後退手術を行った.術後, 顎間固定を70日間行ったのち, ただちに, 上下顎フル・ブラケット法にて術後矯正に移行した.同時期に舌短縮術を施行し, 下顎の後戻りに対する舌の影響を最小限に止めるよう試みた.その後, 上下顎の矯正治療に1年10か月を要したが, その間オトガイ形成術を行い下顔面部の審美性の改善をはかった.矯正治療終了後, 保定装置として上下顎にホーレー・タイプのリテイナーを装着し, 随時補綴科にて欠損部の回復と咬合の微細な調整を行った.現在, 矯正治療後約1年経過しているが, 顎関係および歯列弓は良好で咬合状態も安定している.咀囎, 発音ならびに, 顔貌の改善についても患者は満足し, 心理面においても良好な変化が認められた.以上, 成人顎変形症患者に, 一貫した治療方針のもとで多くの治療, 術式を施行し, 良好な治療成績が得られたので, チーム・アプローチによる治療結果の一例として報告する. |
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ISSN: | 0285-922X 2186-5396 |
DOI: | 10.11516/dentalmedres1981.8.114 |