口蓋裂患者の顎裂部への顆粒状ハイドロキシアパタイト補填

口蓋裂に対する治療の進歩に伴い, 治療成績に対する要請もより高度なものとなりつつあり, 最近では口腔前庭, 歯槽堤, 口蓋前方部に残存する組織欠損による障害についても, 注目されるようになってきている. このような障害に対して, 従来は床義歯による補綴処置, 軟組織による閉鎖手術, あるいは新鮮骨, 保存骨の移植などが行われてきた. 今回われわれは顎裂部の骨欠損に対して, 顆粒状ハイドロキシアパタイトを応用し, 良好な結果を得たので, その概要を報告する. 対象症例は, すでに口蓋形成術が行われているが, 口腔前庭, 歯槽部, あるいは口蓋前方部に口腔鼻腔瘻孔を有する唇顎口蓋裂症例20例(両側...

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Hauptverfasser: 長谷川幸司, 大野康亮, 杉本明, 登倉博子, 吉田広, 道健一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:口蓋裂に対する治療の進歩に伴い, 治療成績に対する要請もより高度なものとなりつつあり, 最近では口腔前庭, 歯槽堤, 口蓋前方部に残存する組織欠損による障害についても, 注目されるようになってきている. このような障害に対して, 従来は床義歯による補綴処置, 軟組織による閉鎖手術, あるいは新鮮骨, 保存骨の移植などが行われてきた. 今回われわれは顎裂部の骨欠損に対して, 顆粒状ハイドロキシアパタイトを応用し, 良好な結果を得たので, その概要を報告する. 対象症例は, すでに口蓋形成術が行われているが, 口腔前庭, 歯槽部, あるいは口蓋前方部に口腔鼻腔瘻孔を有する唇顎口蓋裂症例20例(両側性6例, 片側性14例)で, 手術時年齢は5歳から29歳で平均16.6歳であった. 手術は原則として, 口腔鼻腔瘻孔の鼻腔側と口腔側を, 粘膜弁あるいは粘膜骨膜弁により二重に閉鎖し, その間の欠損部に顆粒状ハイドロキシアパタイトを填入し, 欠損部の補填および歯槽突起の形成を行い, 緊張のない状態で縫合した. 術後成績は, 合併症の見られなかった症例20例中9例(45%), 何らかの合併症の見られた症例は20例中11例(55%)で, そのなかではアパタイトの一部排出が最も多く11例(55%), 次いで術後の小残遺孔が4例(20%), 感染1例(5%)の順で見られた. これらの合併症はいずれも軽度であり, ハイドロキシアパタイトの排出は2, 3週間でなくなり, 小残遺孔は6ヵ月から1年の間に全例自然閉鎖し, 感染は1週間で治癒し, その後の経過は順調であった. 今後さらに本法の手術法, 手術時期, 適応症などについて検討を加える必要があると思われる.
ISSN:0285-922X