下顎に発生したGarreの骨髄炎の病理組織学的検索

Garreの骨髄炎といわれている増殖性骨膜炎を伴った骨髄炎は骨膜部に限局性の骨増殖を呈するのが特徴で, 1955年, Pellらが顎骨の同様な病変を報告して以来, 顎口腔領域でも同様な病変が多数報告されているが, 詳細な病理所見の記載はあまりなく, 病態像も十分解明されていない. 今回, Garreの骨髄炎における新生骨部を病理組織化学的に検索したので報告する. 患者は11歳女性で, 昭和59年3月下旬, 左側下顎角部付近に軽度の疼痛, び慢性の腫脹, 開口障害を自覚した. その後, 開口障害が徐々に増悪したため昭和59年6月6日, 第一口腔外科を来院した. 口腔外所見, 口腔内所見, X線写...

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Hauptverfasser: 河野葉子, 山口朗, 吉木周作, 斎藤健一, 登倉博子, 道健一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:Garreの骨髄炎といわれている増殖性骨膜炎を伴った骨髄炎は骨膜部に限局性の骨増殖を呈するのが特徴で, 1955年, Pellらが顎骨の同様な病変を報告して以来, 顎口腔領域でも同様な病変が多数報告されているが, 詳細な病理所見の記載はあまりなく, 病態像も十分解明されていない. 今回, Garreの骨髄炎における新生骨部を病理組織化学的に検索したので報告する. 患者は11歳女性で, 昭和59年3月下旬, 左側下顎角部付近に軽度の疼痛, び慢性の腫脹, 開口障害を自覚した. その後, 開口障害が徐々に増悪したため昭和59年6月6日, 第一口腔外科を来院した. 口腔外所見, 口腔内所見, X線写真などの所見より臨床的にGarreの骨髄炎と診断され, 同部の切除術が施行された. 手術摘出物割面の肉眼所見では, 頬側皮質骨より外側に向かい, 骨様増殖像が認められた. 同部の軟X線写真でも, 同様の所見が得られた. また同部の研磨標本よりマイクロラジオグラフを作製して観察すると, 新生骨部はX線不透過性が低く, 石灰化の程度が低く, 層板の見られない骨より構成されていた. また塩化シアヌル処理を行ったH.E染色標本で観察を行うと, 新生骨の骨梁は多量の類骨組織を含む線維骨より構成されていた. また非脱灰切片でACPase, ALPase活性を検出すると, 前者は破骨細胞に, 後者は骨芽細胞および骨髄部の線維芽細胞様細胞に著明な活性が認められた. 以上の所見より本症例における病変部は, 著明な骨形成能を伴った幼若な骨組織より構成されていることが判明した. また本疾患と鑑別の必要な疾患として, 骨肉腫, 慢性び慢性硬化性骨髄炎, Ewing肉腫などが重要といわれているため, それらの疾患との鑑別点について若干の考察も行った.
ISSN:0285-922X