象牙質知覚過敏部の微細構造変化について

象牙質の知覚過敏は, 咬耗, 磨耗, 窩洞形成などにより露出した象牙質に機械的, 温度的, 化学的刺激が加わると一過性の疼痛を生ずる臨床症状である. このような症状を示す症例を, 一般に象牙質知覚過敏症とよんでいる. これまでその発痛機序ならびに治療法は, 多くの研究者によって行われてきたが不明な点も多い. 1980年松本は歯頸部象牙質知覚過敏部を走査型電子顕微鏡を用いて検索し, 過敏部では象牙細管が拡張し, 過敏点, 過敏領域すなわち外来刺激の侵入門戸となっていることを報告している. 今回, 知覚過敏部に塗布する治療薬について術前, 術後の知覚過敏部を, 要抜去歯は抜歯を行い, 抜去できない...

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Hauptverfasser: 橋本正博, 藤沢宗徳, 松本光吉
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:象牙質の知覚過敏は, 咬耗, 磨耗, 窩洞形成などにより露出した象牙質に機械的, 温度的, 化学的刺激が加わると一過性の疼痛を生ずる臨床症状である. このような症状を示す症例を, 一般に象牙質知覚過敏症とよんでいる. これまでその発痛機序ならびに治療法は, 多くの研究者によって行われてきたが不明な点も多い. 1980年松本は歯頸部象牙質知覚過敏部を走査型電子顕微鏡を用いて検索し, 過敏部では象牙細管が拡張し, 過敏点, 過敏領域すなわち外来刺激の侵入門戸となっていることを報告している. 今回, 知覚過敏部に塗布する治療薬について術前, 術後の知覚過敏部を, 要抜去歯は抜歯を行い, 抜去できない症例はレプリカ法を用いて走査型電子顕微鏡学的に観察した. 症例は本大学歯科病院第一保存科を受診した患者の象牙質知覚過敏症状を示した症例を用いた. 全身的, 局所的既応歴を問診した後, 電気抵抗値の測定, 温度的, 気銃による誘発痛などの各診査を行った. 誘発痛の分類は石川の分類法に準じて行った. 要抜去歯の場合は診査の後抜去し, 10%ホルマリンで固定後常法に従い試料を作製した. 抜去できない症例は, 各診査後, 歯面の清掃を行い, レジンにより個歯トレーを作り, トシコンのインジェクションタイプで印象した. その印象にスーパーボンドを流し込み, 硬化後カーボン, ゴールドの二重蒸着を行い走査型電子顕微鏡を用いて撮影と観察を行った. その結果, 知覚過敏部の形態は臨床症状が強い場合には, 知覚過敏点も多く, 象牙細管の拡張も強い傾向が観察された. また今回の観察より歯の表面に塗布し細管の開口部を薬剤によって閉鎖し治療する方法について過敏点領域を完全に閉鎖することは困難なことから, このような目的の新しい処置法の検討が必要と思われた.
ISSN:0285-922X