鎮静法を応用した手術症例の検討
鎮静法は意識を保った状態で患者の治療に対する恐怖感や不安感を和らげ, 同時に疼痛に対する感覚を鈍くすることを目的としている. 昭和53年2月から56年12月までの4年間に入院し手術室で行った口腔外科手術症例に応用した鎮静法症例は201例であった. 今回われわれは, このうち基礎疾患を認めない93例と高血圧を合併する53例について臨床統計学的観察を行った. 全症例201例の手術内容は半分以上が抜歯症例であった. 性別では男性が87名, 女性が114名であり, 年齢分布では最年少者が4週, 最年長者は89歳で, 20歳台と50~60歳台に高分布を示した. 既往疾患についてみると基礎疾患を認めない正...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 鎮静法は意識を保った状態で患者の治療に対する恐怖感や不安感を和らげ, 同時に疼痛に対する感覚を鈍くすることを目的としている. 昭和53年2月から56年12月までの4年間に入院し手術室で行った口腔外科手術症例に応用した鎮静法症例は201例であった. 今回われわれは, このうち基礎疾患を認めない93例と高血圧を合併する53例について臨床統計学的観察を行った. 全症例201例の手術内容は半分以上が抜歯症例であった. 性別では男性が87名, 女性が114名であり, 年齢分布では最年少者が4週, 最年長者は89歳で, 20歳台と50~60歳台に高分布を示した. 既往疾患についてみると基礎疾患を認めない正常群は93例, 何らかの基礎疾患を有するものは108例であり, このうち高血圧症が53例と最も多かった. さらに高血圧症群をみると, 高血圧症のみが31例で高血圧と他疾患の合併がある症例は22例であり約半分は虚血性心疾患, 脳循環障害を合併していた. 常用薬は正常群で服用している症例はなく, 高血圧症群では40例が服用していた. 術前検査で異常を示したものは, 正常群では尿検と心電図に, 高血圧症群では生化学, 尿検, 胸部X線写真, 心電図に多く認められた. 鎮静薬の使用状況では正常群ではDiazepamとPentazocine併用群が多いのに対し, 高血圧症群では使用薬剤の循環への影響を考慮してDiazepam単独群が増し, 高血圧+他疾患群では半分以上を占めている. 局所麻酔薬についても循環への影響を考慮して, 正常群ではEpinephrine添加のXylocaine(R)が頻用されたのに対して高血圧症群ではCitanest-Octapressin(R)の使用が増加し, 高血圧+他疾患合併群ではさらにこの傾向が強かった. 術中の血圧変動を麻酔時間でみると60分未満の症例においては正常群のほうが高血圧症群と比較して変動率が高かった. 60分以上の症例では両者の差はないが長時間になると変動する率は多くなっている. 以上4年間の入院患者の鎮静法201例について報告した. |
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ISSN: | 0285-922X |