胎児骨基質形成面の立体超微形態学的研究

胎児骨は成熟した層板骨とは異なっており, 骨基質には多量の膠原線維が含まれていて, 石灰化度が低く, 骨層板も形成されておらず, ハバース層板系が存在したいが, 骨梁間には血管とともに多量の結合組織を収容している屈曲した中心管腔が認められる. 中心管腔壁には逐次骨基質が形成されているので, この内表面を高分解能の走査電子顕微鏡によって観察し, 胎児骨基質形成面の立体超微形態を検索した. 研究試料としては, 胎生期後半の30体の胎児の大腿骨体中央部を用いた. 試料は2.5%グルタールアルデヒド溶液(リン酸緩衝液, pH7.4)で固定後, 液体窒素によってアルコール凍結割断をし, 1%トリプシン溶...

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Hauptverfasser: 申富雄, 鈴木いくよ, 滝口励司
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:胎児骨は成熟した層板骨とは異なっており, 骨基質には多量の膠原線維が含まれていて, 石灰化度が低く, 骨層板も形成されておらず, ハバース層板系が存在したいが, 骨梁間には血管とともに多量の結合組織を収容している屈曲した中心管腔が認められる. 中心管腔壁には逐次骨基質が形成されているので, この内表面を高分解能の走査電子顕微鏡によって観察し, 胎児骨基質形成面の立体超微形態を検索した. 研究試料としては, 胎生期後半の30体の胎児の大腿骨体中央部を用いた. 試料は2.5%グルタールアルデヒド溶液(リン酸緩衝液, pH7.4)で固定後, 液体窒素によってアルコール凍結割断をし, 1%トリプシン溶液(リン酸緩衝液, pH7.4)によって, 内骨膜面を被覆している細胞を消化させ, 骨基質を露出し, アセトン上昇系列による脱水, 臨界点乾燥, 白金のイオンスパッタコーティングを順次施し, 電界放射型走査電子顕微鏡(S-700)で検索した. 胎児骨の内表面の大部分には骨基質が形成されているが, 吸収が進行していて改造されている部分も認められる. 骨基質形成面の最表層は, 不規則な走向の未石灰化の膠原原線維によって, 疎または密な網状構造が形成されている部分がある. 骨基質形成面の最表層には, 直径5μm前後の多数の半球形の構造物が形成されている部分もある. 半球形の構造物は, 未石灰化のきわめて密な膠原原線維網によって形成されている. 半球形の構造物の内部も, 同様に未石灰化のきわめて密な膠原原線維網で構成されている. 骨基質形成面の表層は, 一定方向に走向している未石灰化のきわめて密な膠原原線維束で形成されている, 骨基質形成面之は, 不完全に形成されている多数の骨小腔と, きわめて多数の骨細管が開口している. 下層の骨基質に癒合している半球形の構造物は, 緻密な膠原原線維網によって形成されており, この構造物の周囲の骨基質を形成している膠原原線維上には, 微小な多数の顆粒状構造物が付着している.
ISSN:0285-922X