わたくしの歯内療法における研究
最初の研究として, 東京高等歯科医学校の研究科で行った, いわゆるアンモニヤ銀による根管治療があげられる. この療法は, 戦時中, 野戦療法として, はじめ陸軍に, 次いで海軍と全軍に採用され終戦を迎えた. この研究の端緒は, 昭和8年に, 口腔病学会雑誌7巻3号にベルリン大学教授デーク先生のマンガン化銀に関する発表があり, この新しい銀化合物を感染根管治療に使用してみたいと考えて, 桧垣麟三先生のもとで研究をはじめた. 純銀線の根管充填やホー氏の銀療法が試みられていたが, 金属銀は感染根管内で発生する硫黄イオンにより即座に硫化銀となり, 銀の極微量的作用を失い, 銀の治療効果は期待できないと...
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Veröffentlicht in: | 昭和歯学会雑誌 1982/09/30, Vol.2(1), pp.1-2 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 最初の研究として, 東京高等歯科医学校の研究科で行った, いわゆるアンモニヤ銀による根管治療があげられる. この療法は, 戦時中, 野戦療法として, はじめ陸軍に, 次いで海軍と全軍に採用され終戦を迎えた. この研究の端緒は, 昭和8年に, 口腔病学会雑誌7巻3号にベルリン大学教授デーク先生のマンガン化銀に関する発表があり, この新しい銀化合物を感染根管治療に使用してみたいと考えて, 桧垣麟三先生のもとで研究をはじめた. 純銀線の根管充填やホー氏の銀療法が試みられていたが, 金属銀は感染根管内で発生する硫黄イオンにより即座に硫化銀となり, 銀の極微量的作用を失い, 銀の治療効果は期待できないとされ, 金属銀をアルカリ性過マンガン酸カリ液で酸化したマンガン化銀は感染根管内で硫化銀を作らす持続性の極微動的作用をもつものとされた. そこで歯牙切片や素焼片にホー氏の鍍銀法を施してこれをアルカリ性過マンガン酸カリ液に漬け, マンガン化銀歯牙切片や素焼片を作り, 口腔細菌の混合感染平板培地に乗せて試片の囲りにみられる無菌環が消失する使用回数を調べ, その持続性を知り, 硫黄イオンに対する抵抗性は飽和硫化水素水に作用させる時間を変えて細菌の発育抑制効果がどのくらい持続するか検討した. |
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ISSN: | 0285-922X 2186-5396 |
DOI: | 10.11516/dentalmedres1981.2.1 |