歯周ポケット内へ露出したセメント質の定性的変化

歯周疾患の主要な徴候にポケット形成がある. この結果, 結合組織によって被覆されていたセメント質は, ポケット内環境, あるいは口腔内に露出し, 種々の変化を受ける. そこで, これらをどのように取り扱うかは, 各種歯周治療を行う際, きわめて興味深いものである. しかしながら, いまだ露出セメント質の性質は十分にわかっていない. そこで, X線マイクロアナライザーを利用して, 構成元素の定性・定量分析を行うとともに, Microradiographyによって露出セメント質の変化を観察した. 被検歯には, 過去にスケーリング等の処置を受けていない歯周疾患罹患歯を用いた. 構成元素の分析には,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 古宅康久, 栗山正之, 鈴木賢, 宮下元, 長谷川紘司, 滝口励司
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:歯周疾患の主要な徴候にポケット形成がある. この結果, 結合組織によって被覆されていたセメント質は, ポケット内環境, あるいは口腔内に露出し, 種々の変化を受ける. そこで, これらをどのように取り扱うかは, 各種歯周治療を行う際, きわめて興味深いものである. しかしながら, いまだ露出セメント質の性質は十分にわかっていない. そこで, X線マイクロアナライザーを利用して, 構成元素の定性・定量分析を行うとともに, Microradiographyによって露出セメント質の変化を観察した. 被検歯には, 過去にスケーリング等の処置を受けていない歯周疾患罹患歯を用いた. 構成元素の分析には, 試料17歯の研磨面で, (1)歯肉縁上露出, (2)歯肉縁下露出, (3)非露出セメント質の3部位の浅層(セメント質表層から30μmまで)と, それより象牙質境にいたるまでの深層を分析した. また, 主要構成元素の定量分析には, 被検歯20歯を用いて, (1)露出, (2)非露出セメント質の浅層と深層について行った. その結果, Ca, Pの他にNa, Mg, AI, Si, Cl, Cu, Znを露出と非露出セメント質の両方で検出した. しかし, Feは非露出セメント質のみで検出した. 主要な構成元素であるCaとPの定量分析では, 露出セメント質と非露出セメント質のそれぞれ浅層と深層の間で, Ca, Pともに露出セメント質のほうが有意に高い値を示した. 露出セメント質のCaとPの濃度の上昇が, どのような形と頻度で認められるかをマイクロラジオグラフィーで検索した. その結果, 39歯中35歯, 89.7%の高い割合で露出セメント質表層における過石灰化帯が観察された. この過石灰化帯の幅は, 最大15μmであり, 露出セメント質のほぼ全面に認められた. しかし, 非露出セメント質では観察されなかった.
ISSN:0285-922X