根管内歯髄および根尖歯周組織より誘導した痛み知覚閾値に関する研究
根尖歯周組織の鑑別診断法のなかでも, 根尖部根管内に残存する歯髄組織を臨床的に鑑別することはしごく困難なこととされている. これらの鑑別診断を電気刺激法により, その部に残存する組織の痛み知覚閾値を測定して行うことがCrane(1917), Ziskin(1945), Mumford(1967), 松本(1979)により試みられてきたが, 痛み知覚閾値の測定値の分布域が大きいなどの欠点があり実用化されるにいたっていない. そこで, これらの欠点を補える方法として根管拡大号数を一定にした直流刺激法を検討したところ興味ある知見を得たので報告した. 被験歯として, 9~74歳, 54人の80歯, 1...
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Zusammenfassung: | 根尖歯周組織の鑑別診断法のなかでも, 根尖部根管内に残存する歯髄組織を臨床的に鑑別することはしごく困難なこととされている. これらの鑑別診断を電気刺激法により, その部に残存する組織の痛み知覚閾値を測定して行うことがCrane(1917), Ziskin(1945), Mumford(1967), 松本(1979)により試みられてきたが, 痛み知覚閾値の測定値の分布域が大きいなどの欠点があり実用化されるにいたっていない. そこで, これらの欠点を補える方法として根管拡大号数を一定にした直流刺激法を検討したところ興味ある知見を得たので報告した. 被験歯として, 9~74歳, 54人の80歯, 115根管を用いて本実験を行った`直流刺激装置にはKantop-AceII型(三栄通信)を改良して, 二段平流刺激方式としたものを用いた. 関電極にはReamerを用い, 不関電極にはガーゼを巻いた炭素棒を生理的食塩水で湿らせたものを患者の手に握らせて用いた. 根管拡大時にReamerの先端が根尖孔に到達する前に痛みを訴えた症例を残髄群, 直接抜髄後Fcを貼薬して1週間後の症例を抜髄群, X線的に明瞭な透過像の確認できる症例を感根治群とした. 実験結果は, 残髄群20症例で分布域100~1800μA, 平均値439.0μA, SD=24.07,抜髄群41症例で分布域55~1,300μA, 平均値609.0μA, SD=27.25,感根治群52症例で分布域550~3,800μA, 平均値1,442.0μA, SD=63.28であった. これら各群の相関関係について, Cochran-Coxの近似法(t-分布)を用いて統計処置を行ったところ, 危険率1%で各群間に有意差を認め, 松本の行ったPulse train刺激法よりも有効な方法であることが判明した. |
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ISSN: | 0285-922X |