活性型ビタミンDにより誘導される小腸のオルニチン脱炭酸酵素(ODC)活性の絨毛上皮組織における局在性について
目的:従来, 小腸におけるCa吸収は, 活性型ビタミンD_3 [1α, 25(OH)_2 D_3 ]によって誘導合成されるCa結合タンパク(CaBP)に依存していると考えられてきた, しかし近年, CaBPはCa吸収の亢進より遅れて合成されることが示され, CaBP以外の因子の関与が示唆されるようになった(Nature, 263, 161, 1976). われわれは, 先にニワトリヒナの十二指腸のODC活性が1α, 25-(OH)_2 D_3 投与後Ca吸収の亢進と並行して高まることを明らかにした(Biochem. J. , 195, 685, 1981). 今回, ヒナの十二指腸絨毛の粘膜上...
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Zusammenfassung: | 目的:従来, 小腸におけるCa吸収は, 活性型ビタミンD_3 [1α, 25(OH)_2 D_3 ]によって誘導合成されるCa結合タンパク(CaBP)に依存していると考えられてきた, しかし近年, CaBPはCa吸収の亢進より遅れて合成されることが示され, CaBP以外の因子の関与が示唆されるようになった(Nature, 263, 161, 1976). われわれは, 先にニワトリヒナの十二指腸のODC活性が1α, 25-(OH)_2 D_3 投与後Ca吸収の亢進と並行して高まることを明らかにした(Biochem. J. , 195, 685, 1981). 今回, ヒナの十二指腸絨毛の粘膜上皮細胞をvillustipからcryptにかけて段階的に分画し, ポリアミン代謝におよぼす1α, 25(OH)_2 D_3 の作用を検討した. 方法:D欠乏および1α, 25(OH)_2 D_3 投与のヒナの十二指腸粘膜上皮細胞をWeizerの方法に準じて1.5mM EDTAを含むPBS(-)溶液中でvillus tipから順にcryptにかけて分画採取した. 各分画ごとに, ポリアミン代謝関連酵素はODC活性とS-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)活性を, またポリアミンはプトレッシソとスペルミジン量を測定した. さらに, 十二指腸villusにおける1α, 25(OH)_2 D_3 の分布とそのリセプターの局在性を検討した. 結果:(1)十二指腸粘膜上皮細胞は組織学的およびmarker enzymeによる酵素化学的検索によりvillus tipからcryptにかけて段階的に分画されていることが示された. (2)D欠乏および1α, 25(OH)_2 D_3 投与のヒナにおけるポリアミン代謝関連酵素活性とポリアミン量はvillus部位に比べcrypt部位で高値であった. (3)1α, 25(OH)_2 D_3 投与によりODC活性およびプトレッシソ量のみがvillus部位からcrypt部位にかけて著しく増加した, (4)1α, 25(OH)2D3の特異的リセプターおよびクロマチソ結合の1α, 25(OH)_2 D_3 はvillusからcryptにかけてほぼ均一に分布していた. 結論:1α, 25(OH)_2 D_3 はvillusおよびcrypt部位に集まりポリアミン代謝を促進することからvillus部位のCa吸収の機構にポリアミンの関与が示唆されるとともに, 1α, 25(OH)_2 D_3 がCa吸収以外に十二指腸上皮細胞の分裂や分化さらに機能維持に関与している可能性が示された. |
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ISSN: | 0285-922X |