外科的矯正治療を行った両側性唇顎口蓋裂の頭蓋顎顔面の成長発育に関する一考察

唇顎口蓋裂患者の咬合管理は成長期より長期間に渡ることが多い. その理由は口唇・口蓋形成手術などの顎発育が抑制される要因が多数あるため, 顎発育誘導を行う必要があるからである. 我々は幼児から成人まで長期間の顎発育, 咬合誘導と外科的矯正治療を行った. 最終的に良好な結果を得たが, 顎顔面の成長発育と治療の効果について若干の考察を加えて報告する. 症例は両側性唇顎口蓋裂 (左側: 不完全) の女性. 4歳から咬合管理を開始した. 思春期性成長終了後, 通院が困難なため, 他院にて上顎右側側切歯と下顎両側小臼歯の抜去による治療を行った. しかし, 保定管理中に後戻りによる反対咬合と開咬を呈した....

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Veröffentlicht in:Dental Medicine Research 2010/07/31, Vol.30(2), pp.142-150
Hauptverfasser: 大嶋, 貴子, 遠井, 由布子, 中納, 治久, 倉林, 仁美, 槇, 宏太郎, 秋月, 文子, 角谷, 徳芳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:唇顎口蓋裂患者の咬合管理は成長期より長期間に渡ることが多い. その理由は口唇・口蓋形成手術などの顎発育が抑制される要因が多数あるため, 顎発育誘導を行う必要があるからである. 我々は幼児から成人まで長期間の顎発育, 咬合誘導と外科的矯正治療を行った. 最終的に良好な結果を得たが, 顎顔面の成長発育と治療の効果について若干の考察を加えて報告する. 症例は両側性唇顎口蓋裂 (左側: 不完全) の女性. 4歳から咬合管理を開始した. 思春期性成長終了後, 通院が困難なため, 他院にて上顎右側側切歯と下顎両側小臼歯の抜去による治療を行った. しかし, 保定管理中に後戻りによる反対咬合と開咬を呈した. そこで, 上顎骨劣成長による骨格性下顎前突症と診断し, 上下顎骨切り術による外科的矯正治療を行った. なお, 右側顎裂部は犬歯を配列し, 短縮歯列として非補綴的に咬合を確立し, 良好な結果が得られた. 治療効果を判定するため, 顎顔面の成長発育を縦断的に評価を行ったところ, 上顎骨は下方成分を主とした成長発育を示しており, 前方成長はほとんど認められなかった. 本症例は幼児から咬合管理を行っていたが, 上顎前方成長誘導を行っていない. 成長期に前歯部正常被蓋である唇顎口蓋裂患者は上顎骨の成長が認められると報告されていることから, 初診時から前歯部被蓋を改善する重要性が示唆された.
ISSN:1882-0719
2186-540X
DOI:10.7881/dentalmedres.30.142