頬部脂肪体有茎弁移植による口蓋腫瘍切除後の再建: 症例報告と文献的考察

胸部脂肪体有茎弁移植術は, 特に上顎の組織欠損を再建・形成する方法として近年, 注目されている.われわれは, 口蓋部悪性腫瘍の切除後に生じた組織欠損に対して, 本法による即時再建を行った1例を経験した.患者は87歳の女性, 口蓋部に直径約3cmの有茎性腫瘤を生じており, 臨床所見と画像検査結果から悪性腫瘍が疑われた.全身麻酔下で周囲健常組織を含む切除術を施行したが, 切除によって軟口蓋の穿孔と硬口蓋の広い骨露出面が生じた.右側大臼歯部歯肉頬移行部から頬脂肪体を採取し, これを有茎弁として組織欠損部の再建に用いた.疲痕形成による機能障害や穿孔の残存などの術後合併症はみられず, また腫瘍の再発もな...

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Veröffentlicht in:Dental Medicine Research 2008/03/31, Vol.28(1), pp.26-29
Hauptverfasser: 伊東, 大典, 橋本, 有央, 伊藤, 秀寿, 代田, 達夫, 羽鳥, 仁志, 新谷, 悟
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:胸部脂肪体有茎弁移植術は, 特に上顎の組織欠損を再建・形成する方法として近年, 注目されている.われわれは, 口蓋部悪性腫瘍の切除後に生じた組織欠損に対して, 本法による即時再建を行った1例を経験した.患者は87歳の女性, 口蓋部に直径約3cmの有茎性腫瘤を生じており, 臨床所見と画像検査結果から悪性腫瘍が疑われた.全身麻酔下で周囲健常組織を含む切除術を施行したが, 切除によって軟口蓋の穿孔と硬口蓋の広い骨露出面が生じた.右側大臼歯部歯肉頬移行部から頬脂肪体を採取し, これを有茎弁として組織欠損部の再建に用いた.疲痕形成による機能障害や穿孔の残存などの術後合併症はみられず, また腫瘍の再発もなく経過は良好である.諸家によるこれまでの報告からも, 頬脂肪体有茎弁移植術は高い成功率と広い適応範囲を持つ優れた口腔再建法と考えられた.
ISSN:1882-0719
2186-540X
DOI:10.7881/dentalmedres2008.28.26