テント上脳実質内バルーン圧迫による脳幹偏位・機能の動態とテント切痕ヘルニアの発生機序に関する研究

頭蓋内の一部分から病巣が増大して頭蓋内圧亢進をもたらす病態の分析は, 疾患の診断や治療にもっとも重要な課題の一つである. 頭蓋内占拠性病変は, まず局所圧迫に相当する巣症状としての脳機能障害を生じるが, 続発する頭蓋内圧の亢進は脳ヘルニアの進行や脳幹部の局所偏位など, 生命現象悪化と深い関わり合いをもってくる. この病態の分析に関してQuinke(1891年)によりヒトで初めて腰椎穿刺が行われて以来, 頭蓋内圧は主として髄液圧レベルで検討されてきたが, 病理学的に脳ヘルニアが発見されてからは, 病態の分析がより複雑になされるようになってきた. 1964年, Langfittら13)はhydro...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1986, Vol.26 (10), p.751-758
Hauptverfasser: 三須憲雄, 口脇博治, 平井長年, 高田宗春, 石栗仁, 景山直樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:頭蓋内の一部分から病巣が増大して頭蓋内圧亢進をもたらす病態の分析は, 疾患の診断や治療にもっとも重要な課題の一つである. 頭蓋内占拠性病変は, まず局所圧迫に相当する巣症状としての脳機能障害を生じるが, 続発する頭蓋内圧の亢進は脳ヘルニアの進行や脳幹部の局所偏位など, 生命現象悪化と深い関わり合いをもってくる. この病態の分析に関してQuinke(1891年)によりヒトで初めて腰椎穿刺が行われて以来, 頭蓋内圧は主として髄液圧レベルで検討されてきたが, 病理学的に脳ヘルニアが発見されてからは, 病態の分析がより複雑になされるようになってきた. 1964年, Langfittら13)はhydrostatic pressureとバルーン圧迫による頭蓋内圧亢進時における圧の伝達に関する研究を行い, そのメカニズムについて論述した. 一方, 生理学的には古くから組織圧の測定が試みられてはいたものの, 皮膚などと異なり, 頭蓋という固い骨の中にある脳実質が直接受ける圧力は正確には把握できなかった.
ISSN:0470-8105