急性硬膜下血腫と陳旧性慢性硬膜下血腫を合併したモヤモヤ病の1例

モヤモヤ病においては, 内頸動脈領域が虚血性であるため, 脳底動脈・後大脳動脈よりのleptomeningeal anastomosis, および外頸動脈系からのtransdural cortical anastomosisなどの側副血行が発達している8, 9, 13, 18). 最近我々は, モヤモヤ病患, 者で急性硬膜下血腫の手術を行ったところ, transdural cortical anastomosisが出血源であることを確認し, 同時に陳旧性慢性硬膜下血腫の合併を見い出した興味深い症例を経験したので, 若干の考察を加え報告する. 症例57才, 女性 主訴:意識障害, 嘔吐 家族歴・...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1984, Vol.24 (8), p.622-627
Hauptverfasser: 松村賢, 野尻健
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:モヤモヤ病においては, 内頸動脈領域が虚血性であるため, 脳底動脈・後大脳動脈よりのleptomeningeal anastomosis, および外頸動脈系からのtransdural cortical anastomosisなどの側副血行が発達している8, 9, 13, 18). 最近我々は, モヤモヤ病患, 者で急性硬膜下血腫の手術を行ったところ, transdural cortical anastomosisが出血源であることを確認し, 同時に陳旧性慢性硬膜下血腫の合併を見い出した興味深い症例を経験したので, 若干の考察を加え報告する. 症例57才, 女性 主訴:意識障害, 嘔吐 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1963年9月(37才時), 突然のめまい, 頭重感を生ずるも数日間の安静にて消失した. その際, 近医を受診し高血圧を指摘されたが治療は受けていない. 以来1965・1973・1975年にも同様の発作を経験している. 1979年10月, ハシゴより転落し頭部を打撲した. その数ヵ月後より頭重感, 軽い記銘力低下を生じたが, 半年ほどで自然消失した. 1982年夏より, しばしばめまい・頭痛を訴え, 歩行時動揺するようになり, 視力も低下した. 1983年4月初旬より, めまい・頭痛・歩行時動揺が増強し, 4月9日当院内科を受診し入院した. その際, 小脳性失調・軽い糖尿病を認めた. CTにて左後頭葉低吸収域および左円蓋部硬膜下の帯状の低吸収域を認め(Fig.1), 陳旧性脳梗塞と診断した. その後2週間で症状は軽快し退院したのち, 外来通院にてアスピリン750mg/dayの投与を受けていた. 8月24日午前4時30分, 廊下に倒れ嘔吐しているところを家人に発見され, 当科を受診し入院した.
ISSN:0470-8105