硬膜動静脈奇形に対する放射線療法

近年, 拡大撮影法・subtraction method・選択的血管撮影法などの脳血管撮影法の進歩に伴い, 硬膜動静脈奇形(dural arteriovenous malformation;DAVM)が発見される機会が多くなり, その報告が増加しつつある. その病態については, 詳細な分析を加えた報告がみられかなりの解明が進んでいるが, 治療法に関してはいまだ確立されたものはない. 現在までに, 直達手術法・選択的カテーテル法による閉塞術・エストロゲン療法・アロンアルファによる閉塞術など, 種々の方法が報告されているが, いずれの成績もけっして満足できるものではない. 我々は, 1976年以来...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1984, Vol.24 (8), p.591-599
Hauptverfasser: 山田史, 福田栄, 松本清, 吉井信夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 拡大撮影法・subtraction method・選択的血管撮影法などの脳血管撮影法の進歩に伴い, 硬膜動静脈奇形(dural arteriovenous malformation;DAVM)が発見される機会が多くなり, その報告が増加しつつある. その病態については, 詳細な分析を加えた報告がみられかなりの解明が進んでいるが, 治療法に関してはいまだ確立されたものはない. 現在までに, 直達手術法・選択的カテーテル法による閉塞術・エストロゲン療法・アロンアルファによる閉塞術など, 種々の方法が報告されているが, いずれの成績もけっして満足できるものではない. 我々は, 1976年以来海綿静脈洞部ならびに後頭蓋窩DAVM症例に対して初めて放射線療法を試み, 現在まで施行してきた. その根拠としては, 第1に, 後頭蓋窩DAVM症例の剖検例においてnidusを中心とした静脈洞壁に血管腫様の異常血管網が存在することであり, 放射線照射によりその内腔が閉塞しシャントが閉鎖される可能性が考えられた. 第2に, 脳腫瘍の術後に発生した後頭蓋窩DAVM症例に対し, 腫瘍に対する治療の目的で放射線療法を行ったところ, 照射後にDAVMが消失したことに示唆を得たものである. 我々は, すでに1977年の日本神経学会総会においてその成績の一部を発表しているが4), 現在本療法開始後6年を経過し12例の治癒症例を経験し, 他の療法と比較して非常に優れた治療成績を得たので, その近接ならびに遠隔成績を報告する.
ISSN:0470-8105