一側小脳橋角部症状を主徴とした水頭症の2例

1924年Horraxの報告以来, 小脳橋角部症状を呈しながらも同部に腫瘍の存在しない例が存在することが注目されている. 我々は今回2例の小脳橋角部炎症性病変を経験したので報告した. 2例とも小脳橋角部症状を呈し, 神経耳科的検査法及び放射線学的検査法により小脳橋角部腫瘍の存在を強く疑われた. しかし2例とも明らかな水頭症を合併し, その病因については腫瘍によるものとは考えられなかった. すなわち中脳水道, 第四脳室の偏位はみられなかった. また病歴及び臨床検査によっては炎症性疾患を示唆する所見がなく, 開頭術によりはじめて, 1例は炎症性肉芽組織, もう1例はクモ膜炎であることを確認した....

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1983, Vol.23 (suppl), p.246-247
Hauptverfasser: 堀川恭偉, 金城則雄, 中田宗朝, 高良英一, 宮城航一, 六川二郎, 末野康平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1924年Horraxの報告以来, 小脳橋角部症状を呈しながらも同部に腫瘍の存在しない例が存在することが注目されている. 我々は今回2例の小脳橋角部炎症性病変を経験したので報告した. 2例とも小脳橋角部症状を呈し, 神経耳科的検査法及び放射線学的検査法により小脳橋角部腫瘍の存在を強く疑われた. しかし2例とも明らかな水頭症を合併し, その病因については腫瘍によるものとは考えられなかった. すなわち中脳水道, 第四脳室の偏位はみられなかった. また病歴及び臨床検査によっては炎症性疾患を示唆する所見がなく, 開頭術によりはじめて, 1例は炎症性肉芽組織, もう1例はクモ膜炎であることを確認した. 結果的には, 脳底槽の炎症が水頭症の発生と小脳橋角部症状及び腫瘍性陰影を呈したものであり, 中脳水道, 第四脳室の偏位を伴わず, 小脳橋角部腫瘍が疑われる症例で水頭症を合併する場合には, この部の炎症性病変も考慮すべきことを指摘した.
ISSN:0470-8105