両側性MLF症候群を呈した慢性硬膜下血腫の1例

症例は46歳女性. 頭痛で発症し, 1週間ほどたった頃より意識障害が進行してきた. 他院で腰椎穿刺を受けたが意識障害が更に増悪したため当科へ緊急入院となった. 入院時半昏睡の状態で瞳孔不同(右側), 対光反射は両側消失していた. CTにて右前頭から後頭にかけての慢性硬膜下血腫の診断にて血腫除去施行. 術後2~3週して意識状態が改善した頃より両側性MLF症候群が認められるようになった. 病巣部位として, 神経症状, 電気生理的所見より橋上部から中脳にかけてのMLF(両側), 中脳上丘, 右動眼神経核付近が考えられた. これは今回CT上で確認された. 発生機序として, 慢性硬膜下血腫の急性増悪によ...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1983, Vol.23 (suppl), p.235-236
Hauptverfasser: 井上信博, 山本東明, 開俊郎, 丸林徹, 田中裕一, 大塚忠弘, 松角康彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は46歳女性. 頭痛で発症し, 1週間ほどたった頃より意識障害が進行してきた. 他院で腰椎穿刺を受けたが意識障害が更に増悪したため当科へ緊急入院となった. 入院時半昏睡の状態で瞳孔不同(右側), 対光反射は両側消失していた. CTにて右前頭から後頭にかけての慢性硬膜下血腫の診断にて血腫除去施行. 術後2~3週して意識状態が改善した頃より両側性MLF症候群が認められるようになった. 病巣部位として, 神経症状, 電気生理的所見より橋上部から中脳にかけてのMLF(両側), 中脳上丘, 右動眼神経核付近が考えられた. これは今回CT上で確認された. 発生機序として, 慢性硬膜下血腫の急性増悪によりテント切痕ヘルニアをきたし, 脳幹部のdisplacementが生じ, 脳底動脈, 上小脳動脈の枝の一時的な虚血によるものと考えられた. 慢性硬膜下血腫例でMLF症候群を呈した例は文献上Deveraux, Nelson, Coganらの報告に加え本例は5例目であり, 更に両側性であったことは非常にまれな例といえる.
ISSN:0470-8105