後天性脳内トキソプラズマ症

脳内トキソプラズマ症の大半は先天性であり, 後天性の報告はまれである. しかし種々の病態による免疫不全症に脳内トキソプラズマ症が合併することが最近報告されている. 我々は57歳女性で, 頭部単純写上, 右頭頂部と右基底核部に異常石灰化を認めた脳内トキソプラズマ症の1症例を経験した. 全身痙攣をきたし来院. 身体所見として左上肢不全麻痺以外異常を認めない. CT scanにて右頭頂部の石灰化巣周囲に著明な浮腫を認めた. RI-brain scanにて右頭頂部に異常集積像を認めた. 脳血管造影にて腫瘍陰影はみられなかった. 開頭術にて右頭頂部の黄白色の腫瘤を全摘した. 組織学的に, 中心に壊死巣が...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1983, Vol.23 (suppl), p.233-234
Hauptverfasser: 倉津純一, 野中信仁, 佐野吉徳, 伊東山洋一, 松角康彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳内トキソプラズマ症の大半は先天性であり, 後天性の報告はまれである. しかし種々の病態による免疫不全症に脳内トキソプラズマ症が合併することが最近報告されている. 我々は57歳女性で, 頭部単純写上, 右頭頂部と右基底核部に異常石灰化を認めた脳内トキソプラズマ症の1症例を経験した. 全身痙攣をきたし来院. 身体所見として左上肢不全麻痺以外異常を認めない. CT scanにて右頭頂部の石灰化巣周囲に著明な浮腫を認めた. RI-brain scanにて右頭頂部に異常集積像を認めた. 脳血管造影にて腫瘍陰影はみられなかった. 開頭術にて右頭頂部の黄白色の腫瘤を全摘した. 組織学的に, 中心に壊死巣があり, その周囲を結合織性被膜が被う肉芽腫であり, 被膜の一部にはmacrophage, plasma cellを中心にした強い細胞浸潤がみられた. 一部の細胞内にpseudocystがみられた. 抗トキソプラズマ抗体が516倍と強陽性でもあり, トキソプラズマ症と診断した.
ISSN:0470-8105