正常圧水頭症で発症した傍矢状静脈洞部髄膜腫の1例
髄膜腫は一般に組織学的に良性で, 発育速度が遅いためその発生部位によりさまざまな症状で発症する. 症例は71歳女性で, 入院3ヵ月前より健忘, 歩行障害, 尿失禁が徐々に出現していた. 入院, 精査の結果, 傍矢状洞部髄膜腫と交通性水頭症と診断された. 脳脊髄液圧は130mm水柱で正常圧水頭症だった. 腫瘍は頭頂部にあり, 脳血管写上周部で上矢状静脈洞(SSS)は閉塞していた. 手術にて腫瘍亜全摘と脳室腹腔吻合術を施行した. SSSの切除, 再建は行わなかった. SSS硬膜は腫瘍により浸潤せられ, SSSの閉塞をもたらしていた. 腫瘍の病理組織所見はpsammomatous meningiom...
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Veröffentlicht in: | Neurologia medico-chirurgica 1983, Vol.23 (suppl), p.172-173 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 髄膜腫は一般に組織学的に良性で, 発育速度が遅いためその発生部位によりさまざまな症状で発症する. 症例は71歳女性で, 入院3ヵ月前より健忘, 歩行障害, 尿失禁が徐々に出現していた. 入院, 精査の結果, 傍矢状洞部髄膜腫と交通性水頭症と診断された. 脳脊髄液圧は130mm水柱で正常圧水頭症だった. 腫瘍は頭頂部にあり, 脳血管写上周部で上矢状静脈洞(SSS)は閉塞していた. 手術にて腫瘍亜全摘と脳室腹腔吻合術を施行した. SSSの切除, 再建は行わなかった. SSS硬膜は腫瘍により浸潤せられ, SSSの閉塞をもたらしていた. 腫瘍の病理組織所見はpsammomatous meningiomaだった. 手術により臨床症状消失し退院した. 本例では, 腫瘍によりSSSは頭頂部で完全閉塞され, その結果, クモ膜顆粒よりの髄液吸収障害がおこり, また加齢による脳組織の弾性低下も加わり, 正常圧水頭症として発症したと考えられる. |
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ISSN: | 0470-8105 |