術後, 高血圧の改善を認めた後頭蓋窩巨大動脈瘤の1例

症例は55才男性. 左小脳橋角部症状を呈して来院. CTスキャンで左小脳橋角部に境界鮮明な高吸収域を認めたが, 血管造影の結果, 大部分が器質化した左椎骨動脈の巨大動脈瘤と判明した. 我々は左椎骨動脈を後下小脳動脈の遠位部でクリッピングした. 左椎骨動脈は著明に屈曲蛇行し, 内方へ大きく偏位し, 延髄左前外側部を圧迫していた. 術後, 神経症状の改善とともに, 術前160/100mmHgであった血圧が130/80mmHgとなり, 高血圧の改善を認めた. 術後の血管造影では, 左椎骨動脈は後下小脳動脈を維持するのみの血流量となったため, 狭細化, 屈曲蛇行の軽減をきたしており, 結果的に延髄への...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1982, Vol.22 (suppl), p.215-215
Hauptverfasser: 愛甲康隆, 黒松千春, 岡一成
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は55才男性. 左小脳橋角部症状を呈して来院. CTスキャンで左小脳橋角部に境界鮮明な高吸収域を認めたが, 血管造影の結果, 大部分が器質化した左椎骨動脈の巨大動脈瘤と判明した. 我々は左椎骨動脈を後下小脳動脈の遠位部でクリッピングした. 左椎骨動脈は著明に屈曲蛇行し, 内方へ大きく偏位し, 延髄左前外側部を圧迫していた. 術後, 神経症状の改善とともに, 術前160/100mmHgであった血圧が130/80mmHgとなり, 高血圧の改善を認めた. 術後の血管造影では, 左椎骨動脈は後下小脳動脈を維持するのみの血流量となったため, 狭細化, 屈曲蛇行の軽減をきたしており, 結果的に延髄へのdecompressionとなったと考えられる. 近年, 本態性高血圧症に対する延髄左外側部のvascular decompressionの効果が報告されつつあるが, 本症例もその有効性を示唆する1症例と考え報告した.
ISSN:0470-8105