視力障害で発症したlymphocytic hypophysitisの1例

症例は39才女性. 主訴は両側視力障害. 第3児出産後4日目より霧視があり, 眼科受診. 視力低下(右=0.3, 左=0.1), 左鼻側下部視野欠損を指摘され, ステロイド剤の内服治療を受け一時軽快. CTにて, 鞍内より鞍上槽へ広がる, 均等にenhanceされるmassがあり, 下垂体腺腫, 鞍結節髄膜腫などの術前診断にて開頭腫瘍摘出術施行. 腫瘍は主として鞍内にあり, 一部視交叉前方に突出し, 弾性硬であった. 光顕・電顕にて, 荒廃化した下垂体前葉組織中に腺細胞の減少, リンパ球・プラズマ細胞の浸潤を認め, lymphocytic hypophysitisの組織診断を得た. 術後の内分...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1982, Vol.22 (suppl), p.186-186
Hauptverfasser: 山口研一郎, 小島正行, 新宮正, 荒木攻, 藤田雄三, 松永守雄, 山本寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は39才女性. 主訴は両側視力障害. 第3児出産後4日目より霧視があり, 眼科受診. 視力低下(右=0.3, 左=0.1), 左鼻側下部視野欠損を指摘され, ステロイド剤の内服治療を受け一時軽快. CTにて, 鞍内より鞍上槽へ広がる, 均等にenhanceされるmassがあり, 下垂体腺腫, 鞍結節髄膜腫などの術前診断にて開頭腫瘍摘出術施行. 腫瘍は主として鞍内にあり, 一部視交叉前方に突出し, 弾性硬であった. 光顕・電顕にて, 荒廃化した下垂体前葉組織中に腺細胞の減少, リンパ球・プラズマ細胞の浸潤を認め, lymphocytic hypophysitisの組織診断を得た. 術後の内分泌学的検索では下垂体前葉, 甲状腺, 副腎皮質機能の低下が認められ, 免疫学的に陽性所見はなかった. 過去欧米にて10例(生存例3例)があり, 病因についてはpituitary auto-antibody (Egloff)が関与し, 妊娠を契機に活性化することにより発症する自己免疫性疾患であると考えられている.
ISSN:0470-8105