妊娠9ヵ月目に脳内出血で発症した絨毛上皮癌脳転移の1例

正常妊娠中に脳内出血続いて大量消化管出血があり, 絨毛上皮癌と判明した1例を報告した. 症例は妊娠9ヵ月の27才経産婦. 胞状奇胎分娩の既往あり. 突然の頭痛のあと昏睡となり, 左瞳孔散大. CT上, 左頭頂葉に皮質下血腫があり, 緊急開頭で血腫除去. 術中所見および術直後の脳血管写では, AVM・脳腫瘍を示唆する所見はみられなかった. 術後2週間目に大量下血がありショック状態となったため, 緊急に開腹術および帝王切開術を施行. 胎盤には肉眼上腫瘍を示唆する所見はなかったが, 術中出血源とみられた空腸ポリープは絨毛上皮癌であった. 術後の造影剤注入によるCTで左頭頂葉, 左側頭後頭葉, および...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1982, Vol.22 (suppl), p.93-93
Hauptverfasser: 伊東正太郎, 中村勉, 郭隆燦, 角家暁, 桑原惣隆, 小坂進
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:正常妊娠中に脳内出血続いて大量消化管出血があり, 絨毛上皮癌と判明した1例を報告した. 症例は妊娠9ヵ月の27才経産婦. 胞状奇胎分娩の既往あり. 突然の頭痛のあと昏睡となり, 左瞳孔散大. CT上, 左頭頂葉に皮質下血腫があり, 緊急開頭で血腫除去. 術中所見および術直後の脳血管写では, AVM・脳腫瘍を示唆する所見はみられなかった. 術後2週間目に大量下血がありショック状態となったため, 緊急に開腹術および帝王切開術を施行. 胎盤には肉眼上腫瘍を示唆する所見はなかったが, 術中出血源とみられた空腸ポリープは絨毛上皮癌であった. 術後の造影剤注入によるCTで左頭頂葉, 左側頭後頭葉, および右後頭葉に腫瘍を示唆する病変が認められたが, methotrexateなどの化学療法で消失した. 以上の経過より本症例の頭蓋内出血は, 絨毛上皮癌の脳転移巣に起因すると推定された. 正常妊娠後期に絨毛上皮癌が発見された報告はきわめてまれである.
ISSN:0470-8105