抗生剤投与により消失した半球間裂硬膜下膿瘍の1例

化学療法にて治癒せしめた硬膜下膿瘍の1例を報告した. 症例は12才女子. 発熱, 頭痛にて発症, その後1週間の経過にて嘔気・嘔吐, 左片麻痺, 左上下肢間代性痙攣が出現したため当科に入院した. 入院時, 意識は清明で軽度の左片麻痺, 両側のうっ血乳頭, 項部硬直を認めた. CTスキャンにて半球間裂, 前頭蓋底および穹窿部に低吸収域を認め, また前頭洞炎も認めたため, 前頭洞炎に続発した多発性硬膜下膿瘍と診断し, ただちに抗生物質による強力な化学療法を開始した. 化学療法の開始とともに臨床症状は改善に向かった. CT上の低吸収域も縮小し, 2ヵ月後に自宅退院した. 退院後2ヵ月のCTでは低吸収...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1982, Vol.22 (suppl), p.34-34
Hauptverfasser: 今田隆一, 須賀俊博, 久保田康子, 小沼武英
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:化学療法にて治癒せしめた硬膜下膿瘍の1例を報告した. 症例は12才女子. 発熱, 頭痛にて発症, その後1週間の経過にて嘔気・嘔吐, 左片麻痺, 左上下肢間代性痙攣が出現したため当科に入院した. 入院時, 意識は清明で軽度の左片麻痺, 両側のうっ血乳頭, 項部硬直を認めた. CTスキャンにて半球間裂, 前頭蓋底および穹窿部に低吸収域を認め, また前頭洞炎も認めたため, 前頭洞炎に続発した多発性硬膜下膿瘍と診断し, ただちに抗生物質による強力な化学療法を開始した. 化学療法の開始とともに臨床症状は改善に向かった. CT上の低吸収域も縮小し, 2ヵ月後に自宅退院した. 退院後2ヵ月のCTでは低吸収域は消失するに至った. 従来, 本疾患は外科的治療のみ強調されてきたが, CTによる経時的検索と強力な化学療法により軽快治癒に向かう症例もあることを強調し報告した.
ISSN:0470-8105