神経膠腫が強く疑われたglia瘢痕の1症例

CTの導入以来頭蓋内疾患の診断は著しく進歩したが, その一方ではCT診断における種々のpitfallが指摘されている. 我々は, 高年初発てんかんで発症し, CTを含む神経放射線学的検査において脳腫瘍と診断し, 開頭術を施行したが, 組織学的には腫瘍の証明されなかった1症例を経験したので報告した. 症例は54才男性. 全身性間代性痙攣で発症した. CTにおいては, 左前頭葉皮質下に著明にenhanceされる等吸収域を認め, その周囲には広範な低吸収域があり, 著明なmass effectも認められる. 他の検査においても, 神経膠腫あるいは転移性脳腫瘍が疑われ, 手術を施行した. 組織学的には...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1982, Vol.22 (suppl), p.25-25
Hauptverfasser: 伊藤俊二, 斉藤博文, 山田潔忠, 川上千之, 中井昴
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:CTの導入以来頭蓋内疾患の診断は著しく進歩したが, その一方ではCT診断における種々のpitfallが指摘されている. 我々は, 高年初発てんかんで発症し, CTを含む神経放射線学的検査において脳腫瘍と診断し, 開頭術を施行したが, 組織学的には腫瘍の証明されなかった1症例を経験したので報告した. 症例は54才男性. 全身性間代性痙攣で発症した. CTにおいては, 左前頭葉皮質下に著明にenhanceされる等吸収域を認め, その周囲には広範な低吸収域があり, 著明なmass effectも認められる. 他の検査においても, 神経膠腫あるいは転移性脳腫瘍が疑われ, 手術を施行した. 組織学的には腫瘍細胞は認められず, glio-mesenchymal scarであった. 本症例は, CTによる鑑別診断の難しさを示した症例であるが, 今後のCTによる診断の発展になんらかの役に立つことを願い, 若干の考察を加えて報告した.
ISSN:0470-8105