重症破裂脳動脈瘤患者の社会復帰に関する問題点
破裂脳動脈瘤は脳神経外科で取り扱う脳卒中の中で, 病前とほとんど変わることなく生活しうる数少ない疾患のひとつであるが, 血管攣縮による脳梗塞・水頭症・脳内出血の合併などを来した場合, その日常生活動作(ADL)に関する予後は, 必ずしも満足のいくものではない. 今回我々は, 重症破裂脳動脈瘤16例・生命予後を考慮して手術した高血圧性脳内出血14例・重症脳梗塞12例の42例に対して, WAIS・Benton視覚記銘検査・Bender-Gestalt testなどの神経心理学的検査, および朝9時より夕5時までの連続8時間にわたる10分間隔の直接観察法による日常生活時間調査を行い, これら3者の長...
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Veröffentlicht in: | Neurologia medico-chirurgica 1979, Vol.19 (suppl), p.98-98 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 破裂脳動脈瘤は脳神経外科で取り扱う脳卒中の中で, 病前とほとんど変わることなく生活しうる数少ない疾患のひとつであるが, 血管攣縮による脳梗塞・水頭症・脳内出血の合併などを来した場合, その日常生活動作(ADL)に関する予後は, 必ずしも満足のいくものではない. 今回我々は, 重症破裂脳動脈瘤16例・生命予後を考慮して手術した高血圧性脳内出血14例・重症脳梗塞12例の42例に対して, WAIS・Benton視覚記銘検査・Bender-Gestalt testなどの神経心理学的検査, および朝9時より夕5時までの連続8時間にわたる10分間隔の直接観察法による日常生活時間調査を行い, これら3者の長期慢性期における予後を比較検討した. WAIS・Benton・BG testなどの神経心理学的検査にては発症6ヵ月後に重症破裂脳動脈は低値を示すが, 12ヵ月後には有意差はない. 日常生活時間調査では, 重症破裂脳動脈瘤は, 6ヵ月, 12ヵ月後の両方に休養・ぼんやりの時間が多く, 自主訓練の時間が少なく, これは12ヵ月後ではより有意の差となった. この原因として病巣をCTにて検討したところ, 重症破裂脳動脈瘤は低吸収値域が多発し, 特に前頭葉, 辺緑系が障害される傾向にあり, このため意欲・活動性の低下を来すことが考えられる. 神経心理学的検査法は, 個々の症例の分析には適しているが, 多数の症例を経時的に検討するにはかえって違いを消失させてしまい, また意欲・活動性に対しての判定は困難であるが, 日常生活時間調査はきわめて具体的に評価でき, 有意義な検査法といえる. 重症破裂脳動脈瘤は, 他の重症脳血管障害より休養・ぼんやりの時間が多く, このため運動麻痺が軽度であってもADL上はかなり低いレベルとなり, この点のリハビリテーションが重要であると痛感した. |
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ISSN: | 0470-8105 |