両側性聴神経腫瘍の臨床的特徴と治療方針
目的:両側性聴神経腫瘍は, 多くはレクリングハウゼン氏病と関連し, その治療の困難なことが知られている. 我々はこれまでに経験した16例をもとに, その臨床的特徴および治療方針について述べる. 症例:これまで当科で経験した全聴神経腫瘍は263例で, 両側性はその6.1%を占める. 若年者(平均28才)に発生しやすいが, 性差は認められない. 入院時の神経学的所見で注目すべきは, 乳頭浮腫を示す例が多く(81%), 中には二次性視神経萎縮からblindとなった例も見られる. 聴力に関しては, 腫瘍の存在にもかかわらず, 56%において聴力が保存されており, 診断の際に留意すべきと思われる. 大半...
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Veröffentlicht in: | Neurologia medico-chirurgica 1977, Vol.17 (suppl), p.124-124 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:両側性聴神経腫瘍は, 多くはレクリングハウゼン氏病と関連し, その治療の困難なことが知られている. 我々はこれまでに経験した16例をもとに, その臨床的特徴および治療方針について述べる. 症例:これまで当科で経験した全聴神経腫瘍は263例で, 両側性はその6.1%を占める. 若年者(平均28才)に発生しやすいが, 性差は認められない. 入院時の神経学的所見で注目すべきは, 乳頭浮腫を示す例が多く(81%), 中には二次性視神経萎縮からblindとなった例も見られる. 聴力に関しては, 腫瘍の存在にもかかわらず, 56%において聴力が保存されており, 診断の際に留意すべきと思われる. 大半がレクリングハウゼン氏病のstigmaを示し, 63%に中枢神経系に他の腫瘍の合併を認めた. 治療成績および考察:手術は13例に施行した. 26個の腫瘍の進展度をKoosに従って分類すると, stageI:0個, stageII:8個, stageIII:3個, stageIV:15個で, 脳幹に及ぶ巨大腫瘍が多かった. 手術方法は両側全摘出6例, 減圧開頭4例, 1側摘出2例, 両側被膜下摘出1例である, 手術死亡率(31%)は高く, 死因の大部分は, 両側巨大腫瘍の同時摘出による脳幹部の手術侵襲と考えられる. また, 術後の経過が良好な例でも, 両側の聴力を喪失し, 社会生活に大きな支障をきたした例が少なくない. 以上の経験をふまえて, 最近では1)両側巨大腫瘍の場合は, two stage procedureを行い, 脳幹の侵襲を可及的に避ける. 2)減圧開頭は手術効果が乏しく, 安易に施行しない. 3)1側の腫瘍がstage II以下の場合は, 聴力保存を優先するなどを基本方針としている. このような考えのもとに治療を行った最近の代表的な症例をいくつか提示したい. |
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ISSN: | 0470-8105 |