破裂脳動脈漕に対する意図的晩期手術の成績について

破裂脳動脈瘤に対する意図的晩期手術の意義については, 従来, 相羽らにより再三指摘されてきたところであるが, その際利用される抗線溶療法等の再出血予防効果については, なお十分の症例を重ね, 検討すべきものと考えられる. 今回我々は, クモ膜下出血後一週以内に入院した急性期例126例について, 出血後二週間に達するまでの間, 1)bed rest, 2)sedation, 3)antifibrinolytic therapyの三者を骨子とする待機療法を行い, その再出血防止効果, ならびに早期手術と意図的晩期手術の手術成績を比較検討したので報告したい. 抗線溶療法には, τ-AMCHAを用い,...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1977, Vol.17 (suppl), p.25-25
Hauptverfasser: 小野道夫, 中村治, 熊谷紀元, 相羽正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:破裂脳動脈瘤に対する意図的晩期手術の意義については, 従来, 相羽らにより再三指摘されてきたところであるが, その際利用される抗線溶療法等の再出血予防効果については, なお十分の症例を重ね, 検討すべきものと考えられる. 今回我々は, クモ膜下出血後一週以内に入院した急性期例126例について, 出血後二週間に達するまでの間, 1)bed rest, 2)sedation, 3)antifibrinolytic therapyの三者を骨子とする待機療法を行い, その再出血防止効果, ならびに早期手術と意図的晩期手術の手術成績を比較検討したので報告したい. 抗線溶療法には, τ-AMCHAを用い, 体重1kgあたり100~300mgを一日量とし, 持続点滴法, または4時間毎の間歇的静注法により投与した. 治療期間は, 最短7日間以上である. 治療期間中, すなわち出血発作後2週間以内における再出血は, 14例(11.1%)であり, うち7例が死亡している. 再出血に関連する因子の検討では, 患者の全身状態のgrade, 動脈瘤の局在等は, 統計学的に, 有意の関連を示さなかった. しかし, 再出血による死亡率は, gradeと密接な関係があった. 治療期間中の全身状態の変遷については, 入院時手術適応群(Bottercll grade)87例(69%)に対し, 治療期間後には, 90例(71%)とほとんど差がなかった. 悪化した14例中, 再出血によるもの9例初回出血による直接脳損傷によるもの2例, その他の原因によるもの3例であった. 意図的晩期手術126例と出血発作後二週間以内に手術を行われた早期手術例88例について手術成績を比較すると, 手術死亡は, 前者では0であり, 後者では13例(14.1%). Operative morbidityは, 前者では4例(3.4%), 後者では16例(17.3%)と, いずれも意図的晩期手術例が有意に低い値を示した. さらに, 手術待機中の死亡を考慮したover all mortality rateは9例7.1%であり, over all morbidity rateは14例(11.1%)で, いずれも早期手術例に比し低く, 意図的晩期手術の優位性を示している.
ISSN:0470-8105