前交通動脈瘤手術後の遠隔成績

前交通動脈瘤の予後に脳血管攣縮が動のように関与しているかをみるために, 我々の施設および関連施設の症例321例について, 病態, 経過, 手術成績, 遠隔成績, を見当した. 349個の動脈瘤が証明され, 98個(28.1%)が全交通運動脈瘤であった. このうち血管攣縮を伴うものが23.5%にみられた. クモ膜下出血30日以内の症例では48.1%であった. 前交通動脈瘤では攣縮はA_1 , A_2 の部分に多いが50%の症例で, 内頸動脈, 中大脳動脈の領域にも攣縮がみられた. 攣縮のある症例2/3に何らかの精神・神経症状があった. 意識障害は攣縮群で55%, 非攣縮群では25%にみられた....

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.114-114
Hauptverfasser: 米増祐吉, 松永政幸, 大田秀穂, 北村勝俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:前交通動脈瘤の予後に脳血管攣縮が動のように関与しているかをみるために, 我々の施設および関連施設の症例321例について, 病態, 経過, 手術成績, 遠隔成績, を見当した. 349個の動脈瘤が証明され, 98個(28.1%)が全交通運動脈瘤であった. このうち血管攣縮を伴うものが23.5%にみられた. クモ膜下出血30日以内の症例では48.1%であった. 前交通動脈瘤では攣縮はA_1 , A_2 の部分に多いが50%の症例で, 内頸動脈, 中大脳動脈の領域にも攣縮がみられた. 攣縮のある症例2/3に何らかの精神・神経症状があった. 意識障害は攣縮群で55%, 非攣縮群では25%にみられた. 攣縮群の50%は発作当初1日以上の昏睡または半昏睡の状態が続いており一方非攣縮群ではこのような症例は20%であった. 攣縮群の全死亡率は非攣縮群の4倍で, 特に内頸動脈瘤では16.5倍でもっとも高く, 前交通動脈瘤では2.3倍で低かった. 攣縮のあるものは再出血により死亡する率が高かった. 術後6ヵ月から10年の遠隔成績では, 元の仕事に戻ったもの攣縮群で94%, 非攣縮群で83%で, 働けないもの攣縮群で6%, 非攣縮群で16%であった. 攣縮の存在は長期転帰には影響はみられなかった術後の脱落症状に関係するものは, むしろ動脈瘤の大きさ, 形, 位置, 前交通動脈の解剖学的異常, および手術操作であると考えられた. 結論:1)脳血管攣縮の存在は手術, 非手術創ともに生命予後を悪くしているが, 前交通動脈瘤では影響は少ない. 2)精神症状の長期予後についても攣縮の影響は少ない. 3)精神症状の予後に関係するのはむしろ手術操作で, 攣縮によると思われるものは回復しやすく, 前交通動脈の破格を伴う症例, 上または上後方向きの動脈瘤では症状がおきやすく, 長期間残る傾向がある. したがって, 術前に動脈と動脈瘤の解剖学的関係を十分明らかにし, 手術時の脳の障害を避けることが大切である.
ISSN:0470-8105