破裂前交通動脈瘤に対する慢性期手術の遠隔成績

我々は手術方針として, (1)Botterellのgrade5の症例は頭蓋内血腫合併例を除き適応としない, (2)重症心, 腎不全, 末期癌等の合併例は適応としない, (3)高令者については年令そのものによらず, 患者の栄養状態と合併症の程度を主体に適応を決める, (4)頭蓋内血腫合併例を除き, 破裂急性期は抗線溶療法等を行いつつ待機し, 破裂後2週以降の晩期手術を原則とするという方針をとってきたが, この方針のもとに単一の術者により単一の術式, すなわち一側前頭開頭によるfrontobasal lateral approachで直達手術のおこなわれた138例の前交通動脈以降に手術がおこなわれ...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.113-114
Hauptverfasser: 熊谷紀元, 相羽正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は手術方針として, (1)Botterellのgrade5の症例は頭蓋内血腫合併例を除き適応としない, (2)重症心, 腎不全, 末期癌等の合併例は適応としない, (3)高令者については年令そのものによらず, 患者の栄養状態と合併症の程度を主体に適応を決める, (4)頭蓋内血腫合併例を除き, 破裂急性期は抗線溶療法等を行いつつ待機し, 破裂後2週以降の晩期手術を原則とするという方針をとってきたが, この方針のもとに単一の術者により単一の術式, すなわち一側前頭開頭によるfrontobasal lateral approachで直達手術のおこなわれた138例の前交通動脈以降に手術がおこなわれた120例に3ヵ月から10年にわたる追跡調査を行った. 手術死亡は1例で手術死亡率0.8%, 入院中死亡3例であった. 追跡期間中に死亡していた者7例, 不明16例で, 93例の現在の労働能力を知ることができた. 病前と同様の労働能力を回復しているもの64例, 能力低下のあるもの12例で, 両者を合せた社会復帰率は87%, 仕事に戻れないが身の回りのことはできる者10例, 介助を要する生活にあるもの7例であった. 年令との関係では40才以下の社会復帰率は100%であるのに対し, 40才台88%, 50才台74%, 60才台67%, 70才台0%と加令による減少傾向がみられた. 術前状態がBotterellのgradel~2のものは92%で社会復帰していたが, grade3~4では社会復帰率はわずか20%であった退院時に何らかの精神症状を有していた者は39例, 42%あったが, このうち社会復帰できた者は14例, 36%にすぎず, 精神症状のなかった群の社会復帰率98%と著明な差がみられ, 社会復帰に対する精神症状の強い影響がうかがわれた. 退院時神経症候を残していた18例の予後も例数は少ないが, 精神症状と同様の傾向を示していた. 術前の破裂回数は1回51例, 2回30例, 3回以上12例で回数と労働能力とは無関係であり, また術前の血管攣縮の有無との間にもはっきりした関係は認められなかった.
ISSN:0470-8105