脳血管攣縮治療剤としてのhydrocortisoneについて
目的:Hydrocortisone(以下HC)の大量投与は末梢血管拡張効果, 抗脳浮腫効果があり, 脳血管攣縮の治療に応用しうる可能性がある. その可能性を検討するため一連の実験を行った. 方法:雑種成犬を用い, 無処置のもの(A群), クモ膜下出血作成後48~72時間で脳血管攣縮を認めたもの(B群)に対して, HC(solu-cortef)50~200mgの髄腔内注入, または100mg/kgの静脈内投与を行い, 血管写により血管径の変化を観察し, 血圧, 頭蓋内圧, 脳血流, 脳波, また静脈内投与例では血液, 髄液中のcortisol濃度をradioimmunoassayにより測定した....
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.96-97 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 目的:Hydrocortisone(以下HC)の大量投与は末梢血管拡張効果, 抗脳浮腫効果があり, 脳血管攣縮の治療に応用しうる可能性がある. その可能性を検討するため一連の実験を行った. 方法:雑種成犬を用い, 無処置のもの(A群), クモ膜下出血作成後48~72時間で脳血管攣縮を認めたもの(B群)に対して, HC(solu-cortef)50~200mgの髄腔内注入, または100mg/kgの静脈内投与を行い, 血管写により血管径の変化を観察し, 血圧, 頭蓋内圧, 脳血流, 脳波, また静脈内投与例では血液, 髄液中のcortisol濃度をradioimmunoassayにより測定した. 結果:(1)髄腔内投与:血管径はA群(11頭)で50mg注入10分後に128%, 100mgで133%, 200mgで151%となり拡張し, 3時間後にも持続していた. B群(4頭)では注入前に69%と縮小していたが, 100mg注入により98%に回復した. その他の諸量はA, B群とも類似の変化を示し, 血圧は一過性に上昇し, 約30分後に回復, 頭蓋内圧は持続的に上昇し, 脳血流は増加の傾向, 脳波は速波化する傾向を示した. (2)静脈内投与:血管径はA群(5頭)で投与後1時間で128%, 2時間で117%となり拡張した. B群(4頭)では投与前66%と縮小していたが, 投与後1時間では83%, 2時間では87%に回復した. その他の諸量はA, B群とも類似の変化を示し, 血圧は一過性に下降後徐々に回復, 頭蓋内圧は一過性上昇後徐々に下降, 脳血流は軽度増加し, 脳波は不明であった血中cortisol濃度はA群でHC100mg/kg投与後1時間で144mg/dl, 2時間で35mg/dlとなり, B群ではそれぞれ269,51mg/dlであった. 髄液内濃度はA群で1時間後7mg/dl, 2時間後16mg/dl, B群ではそれぞれ36.9mg/dlであった. 結論:HCは髄腔内投与, 大量静脈内投与ともに脳血管拡張をもたらす. 髄腔内投与では血圧, 頭蓋内圧の変化が著しく, 静脈内投与にはその髄液移行から考えて臨床的に応用しうる可能性がある. |
---|---|
ISSN: | 0470-8105 |