凍結損傷脳における含水量変動と脳内遊離アミノ酸の変動との関連について

マウス凍結損傷脳における脳内アミノ酸の経時的変動について検討を行った. ICRマウスの雄, 8~10週令を用い, Ketalar麻酔下に右大脳後部に-60℃3分間の損傷を加え, 経時的に断頭し直後にドライアイスアセトンにて凍結し, 大脳を摘出した. 含水量は凍結乾燥および五酸化燐にて恒量になるまで乾燥し, 湿重量とから算出した. アミノ酸量は摘出脳に定量のnorleucineを内部標準として加え氷冷下にhomogenizeし, Haden法にて除蛋白したものをJLC-6AH型アミノ酸自動分析器にて定量し, 乾燥脳重量あたりおよび含水量あたりの各アミノ酸量を算定した. 結果と考按:脳内含水量は8...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.78-78
Hauptverfasser: 佐々木知明, 市来崎潔, 四宮陽一, 秋山武仁, 飯坂陽一, 志沢寿夫, 戸谷重雄, 星野忠夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:マウス凍結損傷脳における脳内アミノ酸の経時的変動について検討を行った. ICRマウスの雄, 8~10週令を用い, Ketalar麻酔下に右大脳後部に-60℃3分間の損傷を加え, 経時的に断頭し直後にドライアイスアセトンにて凍結し, 大脳を摘出した. 含水量は凍結乾燥および五酸化燐にて恒量になるまで乾燥し, 湿重量とから算出した. アミノ酸量は摘出脳に定量のnorleucineを内部標準として加え氷冷下にhomogenizeし, Haden法にて除蛋白したものをJLC-6AH型アミノ酸自動分析器にて定量し, 乾燥脳重量あたりおよび含水量あたりの各アミノ酸量を算定した. 結果と考按:脳内含水量は8時間(31%)と72時間(4.7%)にピークを示す二相性の変化を示した. 脳内アミノ酸の乾燥脳重量あたりの変動パターンは以下の5つに分けられた. A;24時間と72時間に2つの谷がある二相性の減少(Asp.Glu.Tau.). B;8時間と72時間に2つのピークを示す増加(NH_3 .Asp(NH_2 ).Glu(NH_2 ).His.Cit.). B;8時間と48時間に2つのピークを示す増加(Ala.Val.). C;6日後にも続く一相性の増加(Thr.Gly.Met.Leu.Tyr.Phe.Orni.Lys.Arg.). D;初期に増加するが, 48~72時間で回復(Ser.GAEA.). 乾燥脳重量あたりで増加を示す多くの必須アミノ酸は含水量あたりでも増加するが, 増加傾向の認められたAsp(NH_2 ). Glu(NH_2 ). Ser. GABA. は変化が認められなくなる. 損傷後8時間および72時間での糖代謝に関連するアミノ酸は8時間ではglutamate, asparateは-9.1%および-5.9%, alanineは32%の変動があり, 72時間ではglutamate, asparateは-20.5%および, -17.8%と8時間の2倍以上も減少しているが, alanineはほぼ正常に回復する. また72時間におけるglutamateとglutamlneの炭素鎖の和は8時間の約1.5倍の減少を示す. 以上の結果から損傷後8時間ではpyruvateからalanineとなる経路の反応が亢進し, 72時では回復すること, また72時間ではTCA-cycle内でのα-ketoglutarateの合成が低下しglutamateからの合成が亢進していることが示唆される.
ISSN:0470-8105