カオリンによるラット実験的脳水腫

1914年DandyとBlackfanがイヌの中脳水道を綿片で閉塞して実験的脳水腫を作って以来, 種々な動物で, 種々な方法で後天的脳水腫が作られてきた. しかしこれらの動物は比較的大きく, 小さな動物で組織学的に検索しやすいラットを使った報告は後天的なものでは少ない. 我々は手術用顕微鏡下に生後5~6週のラットの後環椎後頭膜を露出し, 大槽にカオリン溶液を正確に注入することによりほとんど100%に脳水腫を作ることができた. 注入後約1週間よりラットの動作は鈍くなり, pareticataxicな歩行を示し, 2週間後には頭部の拡大を認め, 4週後にはコントロール群と較べると体重は著明に減少し...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.46-47
Hauptverfasser: 小竹源也, 山木垂水, 成瀬昭二, 井端泰彦, 野条良彰, 松浦忠夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1914年DandyとBlackfanがイヌの中脳水道を綿片で閉塞して実験的脳水腫を作って以来, 種々な動物で, 種々な方法で後天的脳水腫が作られてきた. しかしこれらの動物は比較的大きく, 小さな動物で組織学的に検索しやすいラットを使った報告は後天的なものでは少ない. 我々は手術用顕微鏡下に生後5~6週のラットの後環椎後頭膜を露出し, 大槽にカオリン溶液を正確に注入することによりほとんど100%に脳水腫を作ることができた. 注入後約1週間よりラットの動作は鈍くなり, pareticataxicな歩行を示し, 2週間後には頭部の拡大を認め, 4週後にはコントロール群と較べると体重は著明に減少し, 頭蓋は球型をおび, 頭蓋骨は薄く硬膜ないしは脳表の血管が透見できた. 脳表は平坦で, 脳は著明な内水頭症を示した. 脳室系は交通し, 側脳室内に注入した墨汁は第4脳室孔を出て小脳表面に拡散したが, 天幕切痕を超えず大脳半球表面には到達しえなかった. 脳底では視交叉槽を超えにくく, 天幕切痕周囲のクモ膜の癒着がこの脳水腫の発生進展に重要であると考えられた. 光顕的には脳室上衣細胞および脈絡叢の扁平化脳室壁直下の白質の浮腫が認められた. 電顕的には脳室上衣細胞およびその下の髄鞘線維の扁平化がみられたが白質, 皮質の神経細胞や終末線維の変化はほとんど認められなかった. 光顕および電顕的所見については今後の検討を要する.
ISSN:0470-8105