頭蓋内圧亢進における脳循環調節機構の障害と回復

頭蓋内圧亢進における脳循環調節機構についてheat clearance法により実験的研究を行った. 実験動物にはイヌを用い, 塩酸ケタミン筋注後, pentobarbital sodiumを静注して麻酔を維持した. 気管切開押管して人工呼吸器に接続し, PaO_2 , PaCO_2 を正常に維持した. 頭蓋内圧亢進は硬膜外バルーンを持続注入ポンプで膨張させるか, hydrostatic法により作成した. 血圧を矩形波状に変動させるため, 股動脈より胸部大動脈内にバルーンを挿入し, 膨張・収縮を作った. 血圧・硬膜外圧(ICP)・脊髄液圧・局所脳循環(rCBF)・EKG・EEGをポリグラフに記録...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.39-39
Hauptverfasser: 飯坂陽一, 市来崎潔, 四宮陽一, 佐々木知明, 塩原隆造, 志沢寿郎, 戸谷重雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:頭蓋内圧亢進における脳循環調節機構についてheat clearance法により実験的研究を行った. 実験動物にはイヌを用い, 塩酸ケタミン筋注後, pentobarbital sodiumを静注して麻酔を維持した. 気管切開押管して人工呼吸器に接続し, PaO_2 , PaCO_2 を正常に維持した. 頭蓋内圧亢進は硬膜外バルーンを持続注入ポンプで膨張させるか, hydrostatic法により作成した. 血圧を矩形波状に変動させるため, 股動脈より胸部大動脈内にバルーンを挿入し, 膨張・収縮を作った. 血圧・硬膜外圧(ICP)・脊髄液圧・局所脳循環(rCBF)・EKG・EEGをポリグラフに記録した. 脳循環自己調節機能が正常である場合, 胸部大動脈内でバルーンを膨らませて血圧を急激に上昇させると〕rCBFは一過性に増加するが, 10~20秒で元の値に戻る. 血圧を急激に下降させると, rCBFは一時減少後増加し, overshootして2分以内に元の値に戻る. すなわち, 血圧の上昇と下降に対するrCBFの変化のパターンに差違があるのみならず, 脳循環自己調節機構の反応時間にも差違が認められた. このことは, 血圧の上昇と下降において異なる自己調節機構の作用の存在を示唆する. 自己調節機構の障害がある場合, rCBFは血圧の変化に依存して変動する. 硬膜外バルーン法またはhydrostatic法でICPを上昇させて, 血圧の変動に対するrCBFの変化のパターンをみると, パターンの変化は連続的であり, 脳循環自己調節機能はall-or-noneではなく, 移行型が認められた. ICP上昇により脳循環自己調節機能が障害されても, ICPを下降させると, 障害の程度によりreactive hyperemiaの後回復するものと回復しないものがみられた. ICPを上昇させてrCBFが下降してきている時期にも, 血圧の変化に対するrCBFの反応に変化をみない時期がある. このことは, 血圧を上昇させた場合とICPを上昇させた場合における脳循環自己調節機能に差違のあることを示唆する.
ISSN:0470-8105