Transpetrosal-transtentorial approachによる小脳橋角部腫瘍全摘出の経験

短時間で比較的簡単に錐体骨を切除し, 小脳橋角部の大きな腫瘍を切除する方法transpetrosal-transtentorial approachを考案した. 手術法の概略は以下のごとくである. すなわち, 患者を半座位にし, 頭部はできるかぎり前屈位にして側頭後頭部に皮切を加え, 後頭および後側頭部を乳様突起まで十分に露出し, 乳様突起を切除し, 小範囲の外側後頭下開頭術を行い, 10~15倍の顕微鏡下にair drillを用いて骨切除を行い, S状静脈洞を頸静脈球まで露出する. Antrotomyは最小限にとどめ耳小骨には触れない. 側頭部後半から後頭部にかけて開頭し, 横洞, 中頭蓋窩...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.27-27
Hauptverfasser: 白馬明, 河原崎篤, 三島泰彦, 田中清明, 西村周郎, 岸広成
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:短時間で比較的簡単に錐体骨を切除し, 小脳橋角部の大きな腫瘍を切除する方法transpetrosal-transtentorial approachを考案した. 手術法の概略は以下のごとくである. すなわち, 患者を半座位にし, 頭部はできるかぎり前屈位にして側頭後頭部に皮切を加え, 後頭および後側頭部を乳様突起まで十分に露出し, 乳様突起を切除し, 小範囲の外側後頭下開頭術を行い, 10~15倍の顕微鏡下にair drillを用いて骨切除を行い, S状静脈洞を頸静脈球まで露出する. Antrotomyは最小限にとどめ耳小骨には触れない. 側頭部後半から後頭部にかけて開頭し, 横洞, 中頭蓋窩底外側の硬膜を露出する. 次いで錐体骨の上面の硬膜を剥離し, 脳ベラを挿入し, 表面の硬膜とともに側頭葉を上方に圧排する. そして錐体骨後面の硬膜をS状洞の前方で内方に向って内耳道の後縁まで剥離し, 脳ベラで圧排し, 内耳孔より外側後方の錐体骨をair drillで切除する・錐体骨の切除を錐体骨骨稜より1cm以内にとどめれば顔面神経を損傷することはない, また, この方法によればchochleaを保存することもできる. 中等蓋窩の硬膜, 錐体骨後面の硬膜を切開し, 上錐体静脈洞に2つのclipをかけ切断する. 次いで上錐体静脈洞の切離点よりテント切痕までテントを切開する. 側頭葉を上方に, S状洞を内後方に圧排することにより, 小脳橋角部から中脳部まで十分に露出できる. この方法により聴神経腫瘍3例, 斜台髄膜腫2例, 錐体骨先端の転移癌1例, cholesteatoma1例, 計7例の大きな小脳橋角部腫瘍の全摘出を行い, 良好な結果を得た. この方法は特に, 上方に伸展した大きな小脳橋角部腫瘍の全摘出を行うのに適しており, この方法により小脳の切除, 圧排を行うことなく腫瘍の上部, 脳幹前方に容易に到達できる. 合併症としては髄液漏が重要であるが, 乳突蜂巣および鼓室開放部を筋肉片および筋膜で注意深く閉塞することによりこれを予防することができる.
ISSN:0470-8105