小脳橋角部腫瘍におけるAICAと顔面神経の解剖学的関係とその手術的治療法における意義
AICAは顔面神経と聴神経に密接な関係をもって走行しているが, 小脳橋角部腫瘍の場合でも両者の関係は緊密であり, 相接してほぼ同じ経路をとるのがほとんどである. いかなる場合にでもAICAを保存しなければならないが, そのためには, 術前立体血管撮影やsubtraction法などを駆使し, AICAの走行を十分検討予測して腫瘍への到達法を決定する必要がある. 腫瘍の切除に際しては, AICAを保存するための一つのガイドとして顔面神経が重要な役割を果たし, 顔面神経をも保存するよう努力する. 過去4年間に経験した直径4cm以上の小脳橋角部腫瘍は, 聴神経鞘腫12例, 三叉神経鞘腫2例, 舌咽神経...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | Neurologia medico-chirurgica 1976, Vol.16 (suppl), p.26-27 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | AICAは顔面神経と聴神経に密接な関係をもって走行しているが, 小脳橋角部腫瘍の場合でも両者の関係は緊密であり, 相接してほぼ同じ経路をとるのがほとんどである. いかなる場合にでもAICAを保存しなければならないが, そのためには, 術前立体血管撮影やsubtraction法などを駆使し, AICAの走行を十分検討予測して腫瘍への到達法を決定する必要がある. 腫瘍の切除に際しては, AICAを保存するための一つのガイドとして顔面神経が重要な役割を果たし, 顔面神経をも保存するよう努力する. 過去4年間に経験した直径4cm以上の小脳橋角部腫瘍は, 聴神経鞘腫12例, 三叉神経鞘腫2例, 舌咽神経鞘腫2例, 斜台髄膜腫6例, Meckels cavum髄膜腫1例, 後床突起髄膜腫1例, chemodectoma1例, 小脳dermoid1例, 耳下腺癌の転移1例の計27例であったが, これらのうちbiopsyにとどまった聴神経鞘腫の1例をのぞき, 26例においてはAICAの走行を確認しえた. 聴神経鞘腫ではAICAは腫瘍の前面を走行していることが多く, ときには後下面を走行していたが, 髄膜腫, 三叉神経鞘腫, 舌咽神経鞘腫ではAICAは腫瘍の後下面もしくは後面を走行していた. 26例中22例においてAICAの主幹が顔面神経とともに走行していたが, 聴神経鞘腫3例と舌咽神経鞘腫1例の計4例においては, AICAの枝と顔面神経が同行していた. Biopsyにとどまった聴神経鞘腫の1例とMeckels cavum髄膜腫1例, 後床突起髄膜腫1例, chemodectoma1例の計3例の亜全摘をのぞき, 23例に全摘出を施行したが, 16例では顔面神経を保存することができ, うち14例は機能も良好である. AICAの保存ができなかったのは斜台髄膜腫の1例であり術後悪化した. 他の22例全例にAICAを保存できた. 全摘23例中18例は社会復帰し, 中等度障害のあるものは斜台髄膜腫の1例と耳下腺癌の転移1例である. 残り3例の斜台髄膜腫のうち2例は術後悪化し, 1例は死亡した. |
---|---|
ISSN: | 0470-8105 |