視床枕核破壊後の精神・心理学的側面について

われわれは頑痛患者の視床枕核に対し侵襲を加え良好な成績を得ているが, 今回は精神心理面からの検索を行なったので報告する. 症例は30例でうち13例に一過性の精神症状を認めている. これを状態像から分類してみると, 術後涙もろくなる9例, 陽気になる1, 子供っぽくなる1, 興奮性が増大しいらいらする2, の4例となる. これを疾患別にみると脳血管障害では11例中7例が, 癌疾患では16例中5例, 顔面痛では2例中1例に出現する. 精神症状の内容をみると脳血管障害では全例が涙もろいのに反し, 癌疾患では陽気になる, 子供っぽい, 涙もろい各1, 興奮性増大2となっている. つぎに両側破壊と片側破...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1975, Vol.15 (suppl), p.193-193
Hauptverfasser: 吉井信夫, 梅津耕作
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:われわれは頑痛患者の視床枕核に対し侵襲を加え良好な成績を得ているが, 今回は精神心理面からの検索を行なったので報告する. 症例は30例でうち13例に一過性の精神症状を認めている. これを状態像から分類してみると, 術後涙もろくなる9例, 陽気になる1, 子供っぽくなる1, 興奮性が増大しいらいらする2, の4例となる. これを疾患別にみると脳血管障害では11例中7例が, 癌疾患では16例中5例, 顔面痛では2例中1例に出現する. 精神症状の内容をみると脳血管障害では全例が涙もろいのに反し, 癌疾患では陽気になる, 子供っぽい, 涙もろい各1, 興奮性増大2となっている. つぎに両側破壊と片側破壊を比較すると, 片側破壊9例中6例に両側破壊21例中7例に一過性精神症状がみられる. これを枕核における破壊巣の大きさによって分けると破壊巣の大きなものは精神症状の出現率が著しく多いことがわかった. 年令別にみると涙もろい9例は48~67才までで, 子供っぽい, 陽気は60才代であった. 興奮は20才代であった. IQとY-G検査を行なったものは10例でうち5例は術前術後に検査を行なっている. 1Qは術前術後を通じて著しい変化をみとめなかったが, 術直後には軽度の低下をみとめたものがあった. Y-G検査のすべてに著しい変化をみとめなかった. ただ個々の症例についてみると術後神経質でなくなった, 攻撃的傾向が減少したものがあったが, 一方非協調的, 攻撃的な面が増大したものもあった. 以上のうち, 片側破壊群に一過性精神症状の出現が多かった点については, 片側破壊がほとんどすべて脳血管障害後の中枢性疼痛患者に行なわれたものであり, この場合は原疾患の影響が大きいように考えられる.
ISSN:0470-8105