乳児慢性硬膜下血腫(水腫), 殊に生後6か月までの乳児前半期例の検討

乳児慢性硬膜下血腫(水腫), 殊に生後0~6か月までの乳児前半期の報告は少ない. 開院以来の過去3年5か月間に乳児慢性硬膜下血腫(水腫)の22例を経験した. このうち乳児前半期(0~6か月)15例と後半期(7~12か月)7例について, 好発月齢, 性別, 原因, 病側と硬膜下液, 治療法と原因および発症機転から初回治療までの期間を対比検討した. なお13~14か月の3例は後半期に加え10例とした. 好発月齢は5か月児が7例と多いが, 他の月齢では1~2例が散発している. 性別では前, 後半期の男女比は11:4と6:4で男に多い. 原因別では前半期例では分娩外傷が8例53%と多く, 後半期例では...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1973, Vol.13 (suppl), p.96-97
Hauptverfasser: 坂本敬三, 小林憲夫, 中井清彦, 田中清明, 白滝邦雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:乳児慢性硬膜下血腫(水腫), 殊に生後0~6か月までの乳児前半期の報告は少ない. 開院以来の過去3年5か月間に乳児慢性硬膜下血腫(水腫)の22例を経験した. このうち乳児前半期(0~6か月)15例と後半期(7~12か月)7例について, 好発月齢, 性別, 原因, 病側と硬膜下液, 治療法と原因および発症機転から初回治療までの期間を対比検討した. なお13~14か月の3例は後半期に加え10例とした. 好発月齢は5か月児が7例と多いが, 他の月齢では1~2例が散発している. 性別では前, 後半期の男女比は11:4と6:4で男に多い. 原因別では前半期例では分娩外傷が8例53%と多く, 後半期例では出生後外傷9例60%と多く, 各期の特徴をしめしている. 症候別にみると前半期例は泉門膨隆81%, 頭囲拡大53%, 嘔吐60%, 反射異常73%が多いが, 他の症候も含め後半期例より出現頻度は低く軽症な経過をとる. 病側と硬膜下液の性状は, 前, 後半期とも両側性でキサントクロミーが10例67%, 6例60%と多い. 両側性で水様性は前半期例のみ4例であった. 片側性はキサントクロミーのもの1例と2例であった. 治療法は各期とも穿刺のみが5例と4例で, 大泉門が小さいが閉鎖し穿頭後穿刺した群は穿刺のみと考えると, 各期で8例53%, 8例80%で後半期は穿刺のみで終わった例が多い. 前半期で穿刺にS-P shuntを追加した5例はいずれも分娩外傷が原因で, この発症機転から初回治療までの期間は平均5か月であり, 前半期の穿刺のみの例の同期間5か月より初回治療が遅れている. 被膜除去は各期1例ずつであった. 本症前半期例は症候が軽く発見が遅れやすいので, 一卵性双生児の例を供覧した. 私共の前半期例は開院後1年2か月時で3例であったが, 今回の3年5か月時に15例と増加したのは, 外来診察時の要領を改善した結果と考え, この時点での要領を詳述した.
ISSN:0470-8105