脳動脈瘤の眼症状の検討

脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血の際に種々の臨床症状が現われる. 最近は脳動脈瘤の手術成績が向上した事から, 又脳血管撮影法が普及した事から急激に脳外科で取扱う症例が増加して, その臨床像も次第に細かい観察が行われる様になった. 脳動脈瘤と, その破裂によって起こるクモ膜下出血の病像が明らかにされる事が, その治療成績の向上につながる事が期待される. 目的:脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の際に発現する眼症状を検討し, 臨床的意義を明らかにしようと試みた. 資料:我々が最近取り扱った脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の54例について, その眼症状を中心に臨床症状を検討した. 結果:眼底に出血を認めた...

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Hauptverfasser: 野村隆吉, 浅井昭, 林誠之, 戸田稲三, 児島駿
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血の際に種々の臨床症状が現われる. 最近は脳動脈瘤の手術成績が向上した事から, 又脳血管撮影法が普及した事から急激に脳外科で取扱う症例が増加して, その臨床像も次第に細かい観察が行われる様になった. 脳動脈瘤と, その破裂によって起こるクモ膜下出血の病像が明らかにされる事が, その治療成績の向上につながる事が期待される. 目的:脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の際に発現する眼症状を検討し, 臨床的意義を明らかにしようと試みた. 資料:我々が最近取り扱った脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の54例について, その眼症状を中心に臨床症状を検討した. 結果:眼底に出血を認めたもの8例(14.8%), 乳頭浮腫4例(7.4%), 動眼神経麻痺11例(20.4%), 外転神経麻痺2例(3.7%)の眼症状をみた. これ等の所見を他の臨床症状, 諸検査成績と比較検討した. 結論:1)眼症状は脳動脈瘤の破裂によって発症するクモ膜下出血の際にしばしば現われる重要な臨床所見である. 2)眼底出血は内頸動脈瘤によるクモ膜下出血の際起こりやすく, 又急激な頭蓋内圧亢進を来たした時に起こりやすい. 3)眼底出血はクモ膜下出血発症後1時間目に発現した症例をみた. 極めて早い時期にも発現しうるものである. 4)動眼神経麻痺は内頸動脈瘤の破裂によることが多い. 5)動眼神経麻痺は術後回復するものが多く, 特に発症後早期に根治手術が施こされたものに早い回復をみた.
ISSN:0470-8105