脳動脈攣縮の研究

近年, 脳動脈瘤破裂の予後を左右する因子として, 脳動脈攣縮について, 大きい関心がもたれている. しかし, それは臨床的な現象面からの追求に止まり, その本態についての追究は十分とはいい難い. 我々は本態追究の努力を続けてきたが, 今回はクモ膜下出血にみられる, 脳動脈の病理学的変化について述べる. 脳動脈瘤破裂による死亡例のうち, 各種日数を経た剖検例について, 動脈の病理所見を検討し, その成績について述べ, いわゆる脳動脈箪縮との関連について考察する. また動物実験によって, クモ膜下出血による各死亡時期の標本を作製し, その所見を対比, 観察した. 結果:脳動脈にみられた病理学的所見...

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Veröffentlicht in:Neurologia medico-chirurgica 1973, Vol.13 (suppl), p.10-10
Hauptverfasser: 山田史, 福田栄, 松本清, 工藤達之, 勝又次夫, 大矢昌紀, 永井肇, 景山直樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 脳動脈瘤破裂の予後を左右する因子として, 脳動脈攣縮について, 大きい関心がもたれている. しかし, それは臨床的な現象面からの追求に止まり, その本態についての追究は十分とはいい難い. 我々は本態追究の努力を続けてきたが, 今回はクモ膜下出血にみられる, 脳動脈の病理学的変化について述べる. 脳動脈瘤破裂による死亡例のうち, 各種日数を経た剖検例について, 動脈の病理所見を検討し, その成績について述べ, いわゆる脳動脈箪縮との関連について考察する. また動物実験によって, クモ膜下出血による各死亡時期の標本を作製し, その所見を対比, 観察した. 結果:脳動脈にみられた病理学的所見を示す. 内膜の変化としては, その肥厚, 空泡形成, 内皮細胞の脱落, 内弾性板の強い波状のうねりと断裂, 血漿浸潤がある. 中膜には筋細胞の減少, 染色性の低下, 細胞内空胞形成, 細胞間空隙形成がみられ, 外膜には膠原線維の浮腫様膨化と, 外膜自体の肥厚がみられる.
ISSN:0470-8105