6. 散乱特性を考慮した光CTにおける像再生理論

医用画像診断およびコンピュータ支援診断(CAD)は, X線, 光波, 電磁波を用いた重要な医療技術である. 電磁波は医療診断の大切な物理手段である. 近年コンピュータを用いたX線自動画像診断は急速に進歩してきている. 受光したX線, 光波, 電磁波画像の空間特性はX線, 光波, 電磁波の媒質中に吸収減衰した透過波のみでなく, 散乱波の重ね合せによるX線, 光波, 電磁波強度によって決められている. 透過X線, 光波, 電磁波特性は吸収と散乱特性によって与えられる. 従って, 生体媒質の構造をX線, 光波, 電磁波透過によって同定することに関して, 散乱波フィルタリングを用いない初歩的X線, 光...

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Veröffentlicht in:日本レーザー医学会誌 2012, Vol.32 (4), p.510-510
1. Verfasser: 宮崎保光
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:医用画像診断およびコンピュータ支援診断(CAD)は, X線, 光波, 電磁波を用いた重要な医療技術である. 電磁波は医療診断の大切な物理手段である. 近年コンピュータを用いたX線自動画像診断は急速に進歩してきている. 受光したX線, 光波, 電磁波画像の空間特性はX線, 光波, 電磁波の媒質中に吸収減衰した透過波のみでなく, 散乱波の重ね合せによるX線, 光波, 電磁波強度によって決められている. 透過X線, 光波, 電磁波特性は吸収と散乱特性によって与えられる. 従って, 生体媒質の構造をX線, 光波, 電磁波透過によって同定することに関して, 散乱波フィルタリングを用いない初歩的X線, 光波, 電磁波診断における雑音対信号比は高くない. 透過波より散乱波を分離することは, 原理的に有効であるが, 十分研究されていない. 散乱, 吸収, 分散分光を深く検討することによって, X線, 光波, 電磁波画像診断の高精度化を実現することが可能である. 本論文では, 電磁波, X線特性に基いた高機能のコンピュータ支援診断システムを設計するために, 散乱解析に基いた像再生の理論を示している. X線CT, 光CTおよび電磁波CTは, 媒質の吸収特性に基づいて内部構造を求める画像再構成技術として近年広く用いられてきている. 画像再構成アルゴリズムは, 入射波の吸収特性に依存した受波検出である投影データを逆フーリエ変換によって吸収特性の空間分布を決定する手法が基本である. 媒質が不均質であり誘電率, 屈折率, 吸収係数が空間分布している場合には, 吸収特性は, 原理的に散乱特性を伴っているため, 直線光線的な透過特性のみによる画像再構成法は, 物理現象の不正確な仮定に依存していることとなる. 一般的には, 電磁波, 超音波CTにおける画像再構成は, Ray Optics的な吸収特性のみ考慮した投影データではなく, 散乱特性を含む波動界あるいは拡散界を考慮した理論に基づいた方法を基礎としなければならない. 本論文では電磁波の境界値問題として電磁波CTの原理的理論を示す. ランダムな生体組織媒質中におけるX線伝搬の統計理論について, ランダム媒質の相関関数を用いて, Green関数を含む積分方程式の解法が展開されている. ランダムな生体組織媒質からなる仮想導波路アレイにおける散乱とモード結合に基いて電磁波CT法の高精度の像再生理論が論じられている. 本解析により, 最適な散乱波フィルタを見出すことができると思われる. また, 本理論に基いて, 散乱ノイズを除くためのウィーナーフィルタおよびカルマンフィルタによる像再生の精密化についても論じる.
ISSN:0288-6200