1. ポルフィリンP(V)錯体による酸素に依存しない光増感反応機構

[緒言]現在行われている光線力学的療法(PDT)の主なメカニズムは光増感反応で生成した一重項酸素(1O2)による生体分子の損傷である. 1O2生成は比較的少ないエネルギーでも起こり, PDTで重要な赤色光によっても可能であるが, がん細胞内の酸素濃度に依存する. 生体分子の光損傷機構には, 酸素に直接依存しない電子移動反応も知られているが, 紫外線~青色光のエネルギーが必要とされる場合が多い. これまで著者らは, 赤色光を吸収するポルフィリン類の光増感剤でも, 酸化還元電位を制御することにより, 電子移動反応が可能なことを報告してきた. 本研究では, 光励起状態の酸化力が高いポルフィリンP(V...

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Veröffentlicht in:日本レーザー医学会誌 2008, Vol.29 (2), p.196-196
Hauptverfasser: 平川和貴, 江原由美子, 平野達, 瀬川浩司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[緒言]現在行われている光線力学的療法(PDT)の主なメカニズムは光増感反応で生成した一重項酸素(1O2)による生体分子の損傷である. 1O2生成は比較的少ないエネルギーでも起こり, PDTで重要な赤色光によっても可能であるが, がん細胞内の酸素濃度に依存する. 生体分子の光損傷機構には, 酸素に直接依存しない電子移動反応も知られているが, 紫外線~青色光のエネルギーが必要とされる場合が多い. これまで著者らは, 赤色光を吸収するポルフィリン類の光増感剤でも, 酸化還元電位を制御することにより, 電子移動反応が可能なことを報告してきた. 本研究では, 光励起状態の酸化力が高いポルフィリンP(V)錯体を用い, 1O2生成と酸素に依存しない電子移動反応による二つの作用機構を検討した. [実験]ポルフィリンP(V)錯体は, テトラフェニルポルフィリンへのリンの導入で合成した. はじめに合成したP(V)ポルフィリン(PCI2)の硝酸銀またはエチレングリコールによる処理でP1およびP2をそれぞれ得た(図1).
ISSN:0288-6200