PD-2 爪白癬に対する外用ALA-PDTの試み

近年の新しい抗真菌剤の開発,進歩にもかかわらず,日本では総人口の約10%の爪白癬患者が存在する.爪白癬は自然治癒傾向が無く,また他人への感染の温床ともなるため,公衆衛生的にも大きな問題の一つとなる.爪白癬の治療は現在抗真菌剤の内服療法が有効であり,主流となってきているが,肝・腎機能障害を持っていたり,多種類の内服をしている患者では内服療法は不可能であり,また抗真菌剤内服の副作用によるによる肝障害も問題となる.皮膚科領域において5-aminolevulinic acid(ALA)を用いた外用光線力学的療法(ALA-PDT)は皮膚悪性腫瘍に対して有用な治療法として用いられてきているが,当教室では腫...

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Veröffentlicht in:日本レーザー医学会誌 2007, Vol.28 (2), p.232-232
Hauptverfasser: 渡辺大輔, 河村千晴, 増田裕子, 秋田洋一, 玉田康彦, 松本義也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年の新しい抗真菌剤の開発,進歩にもかかわらず,日本では総人口の約10%の爪白癬患者が存在する.爪白癬は自然治癒傾向が無く,また他人への感染の温床ともなるため,公衆衛生的にも大きな問題の一つとなる.爪白癬の治療は現在抗真菌剤の内服療法が有効であり,主流となってきているが,肝・腎機能障害を持っていたり,多種類の内服をしている患者では内服療法は不可能であり,また抗真菌剤内服の副作用によるによる肝障害も問題となる.皮膚科領域において5-aminolevulinic acid(ALA)を用いた外用光線力学的療法(ALA-PDT)は皮膚悪性腫瘍に対して有用な治療法として用いられてきているが,当教室では腫瘍性疾患以外にもサルコイドーシスや偽リンパ腫といった炎症性疾患に対してもALA-PDTを試み,その有効性を証明してきた.また,真菌症を含む種々の皮膚感染症に対するPDTの殺菌効果についても近年報告がなされてきている.そこで今回我々は爪白癬に対する外用ALA-PDTを試みた.臨床的,菌学的に証明された爪白癬患者3例に対し,病変爪にALAを密封外用,遮光した.5時間後にPDDおよび蛍光スペクトロメーターを用いて病変部でのプロトポルフィリンIXの赤色蛍光(636nm)を確認した後,エキシマダイレーザーを用いて1回100J/cm2の照射を行った.7-8回の治療後,病変部は臨床的に改善を認め,また真菌培養も陰性となった事より,PDTの爪白癬に対する有効性が示唆された.ALAの爪への浸透方法,照射回数など課題もあるが,現在症例を増やし更なる検討を重ねている.
ISSN:0288-6200