W2-1 Talaporfin sodiumを用いた光線力学的診断による舌癌領域特定法の検討
舌癌の病変の範囲を診断するためにはCT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resource Imaging)などの画像検査を行う必要があるが,初期症状においては不確実であるため,その確定診断には組織の一部を切り取る病理組織検査をしなければならない.その後の治療法は,外科手術が主体であり,正常な組織に障害をもたらしてしまう危険性がある.そこで,患者のQOLを低下させない,治療を同時に行える確実な診断法が求められている.治療が同時に行える診断法として,腫瘍親和性の高い光感受性物質と光を用いた光線力学的診断(photodynamic diagnosis;PDD)があ...
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Veröffentlicht in: | 日本レーザー医学会誌 2007, Vol.28 (2), p.209-209 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 舌癌の病変の範囲を診断するためにはCT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resource Imaging)などの画像検査を行う必要があるが,初期症状においては不確実であるため,その確定診断には組織の一部を切り取る病理組織検査をしなければならない.その後の治療法は,外科手術が主体であり,正常な組織に障害をもたらしてしまう危険性がある.そこで,患者のQOLを低下させない,治療を同時に行える確実な診断法が求められている.治療が同時に行える診断法として,腫瘍親和性の高い光感受性物質と光を用いた光線力学的診断(photodynamic diagnosis;PDD)がある.この方法は,光感受性物質の蛍光の有無により腫瘍領域を指定できるが,血液の多い部分では腫瘍の境界が不鮮明になることがある.我々のグループでは,いわゆるhyperspectral imaging技術を用いて,皮膚などに表在する化学種を特定する分光分析装置を開発してきた.今回,本装置と光線力学的診断の組み合わせにより,腫瘍領域を指定することに成功したので報告する.発癌剤(4-nitroquinoline-1-oxide)を約6ヶ月投与し舌腫瘍を誘発させたラット(東京歯科大学が作製)に対して,光感受性物質Talaporfin sodiumを5mg/kg静脈注射した.8時間後,ラットに麻酔をかけ,その舌の画像を分光分析装置で撮像した.取得した拡散反射スペクトルデータR(λ)をKubelka-Munk変換し,波長λごとに有効光学密度K/S(λ)を求めた.ヘモグロビン量を表すErythema index(E)はメラニンを考慮に入れず,E=K/S(560)-K/S(730) とした.Talaporfin sodium量(T)はTの吸収領域を645-690nmとして664nmでの重み平均の高さから求めた.これらから舌領域のみのデータからE-T相関を強く表す直線を最小二乗法により求め,これを新たな軸となるように座標変換を行った.この変換により得られた2つの成分に関して次のように考えられる.相関を強く表す直線を軸とするものは,血液量が増加するとともにTalaporfin sodium量も増加すると考えられるため,主に血中のTalaporfin sodium量の分布を表していると考えた.もう一つの直線に垂直な軸は,血液量に依存せずに変化するTalaporfin sodium量を表していると考えた.そこで,後者の画像化を行う際に,発癌していないcontrolのものを基準として,舌癌領域と疑わしい値の範囲を設定した.これによりTのみでは癌領域とは見えない白板症を引き起こしている部位も癌化していると見受けられるようになった. |
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ISSN: | 0288-6200 |